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CSR活動

「ポレポレ基金」活動レポート (2014年2月1日~4月30日)絵本のプロジェクトを開始しました(2014年2月~4月)

昔話で教育をする習わしを活かして

ポポフの地元である、コンゴ民主共和国東部のカフジ・ビエガ国立公園周辺には、かつて豊かな森が広がり、ゴリラやゾウをはじめとしてたくさんの野生動物が暮らしていました。ところが、近年の急激な人口増加と政治経済状態の悪化で、またたくうちに森は畑に代わり、野生動物たちの姿も見えなくなりました。このままだとあっという間に、この地域は見渡すばかりの畑や紅茶のプランテーションになってしまうでしょう。そうすれば、昔の人々が豊かな自然とどう付き合っていたのか、わからなくなってしまいます。
つい最近まで、ポポフの地元では昔話によって子どもたちの教育をするのが習わしとなっていました。文字のなかったアフリカでは、言葉によって昔の人々の知恵や経験を伝えたのです。話の中には豊かな森やおいしい果物や、さまざまな野生動物たちが登場します。ゴリラも主人公の一人です。でもそういった風景や動物たちが織りなすドラマは、森が消失して動物たちがいなくなると、リアリティをもって語ることができなくなります。1970年にカフジ・ビエガ国立公園が設立される以前は、子どもたちが古老たちに連れられて森へ入り、数週間から3ヶ月ほど森で暮らしながら昔話を聞いて自然と向き合う術を学んだそうです。保護区ができるとともにそうした風習は途絶え、保護区の外が畑だらけになると、子どもたちに学ばせる自然の教材もなくなってきました。今では、昔話だけが残っているだけで、近いうちに昔話すら消えて行ってしまうでしょう。
そこでポポフは、地元で語り継がれてきた昔話を録音し、それを文字に起こし、絵を付けて、絵本として呼んでもらうプロジェクトをはじめました。すでに1992年にポポフが設立されたときからこの活動は続いており、毎年出しているポポフニュースにも毎回昔話とその内容を表す絵が掲載されています。昔話だけでなく、カフジ・ビエガ国立公園で人間の子どもとゴリラの子どもの間に起りそうな出来事を「ゴリラとあかいぼうし」という本にしたこともあります。この本を制作するために、ポポフのアーティストのダビッド・ビシームワは日本に半年滞在して、編集者と絵の構想を練りました。1980年代によく見かけた地元の市場の様子を描いた「ジンガくん いちばへいく」という絵本も出版されました。ジンガくんは地元に実在する子どもの名前です。もうすっかり立派な大人になっています。
ポポフは自ら経営するアンガ学校に図書館を建てることを子どもたちと約束しました。今その準備を始めているところですが、その最初の試みとして、この二つの絵本を地元のスワヒリ語に訳し、読み聞かせができるようにして学校に贈呈しました。絵本には子どもたちがまだ目にすることができる森や村や市場の様子が絵になって描かれています。2冊とも地元の子どもたちが主人公です。スワヒリ語で読んであげると、みな熱心に耳を傾け、ゴリラのオスが大きな声で吠える場面では、みんな飛び上がってはしゃいでいました。これからは、地元の昔話や出来事を自分たちで絵本にして、それをみんなで語り繋ぎたいと思っています。地元の文化を育んだ風景やお話が消えてしまわないうちに、それを記録に残さなければなりません。またそういう活動を普及させることで、地元に古くから伝わっている自然や文化の価値を再発見できるのではないかと期待しているところです。

ポポフのアンガ学校で、地元のアーティストのダビッド・ビシームワ
と制作した「ゴリラとあかいぼうし」を読み聞かせるポポフのアンガ学校で、地元のアーティストのダビッド・ビシームワと制作した「ゴリラとあかいぼうし」を読み聞かせる

「ジンガくんいちばへいく」を読む子どもたち「ジンガくんいちばへいく」を読む子どもたち

村長と保護区の境界を話し合う

さて、低地の熱帯雨林へ拡大したポポフの活動も順調に進展しています。今回はイテベロという村の村長さんと国立公園の境界について話し合いました。国から押し付けられて保護区を認めるのではなく、村の将来を豊かにしてくれる保護区として見守っていこう。そのために、どんなことができるかを話し合ったのです。すでに養殖池を作って魚を増やす試みを始めていますし、学校を作って山地部にあるポポフのアンガ学校と教員を交換し合う計画も出ています。子どもたちが低地と山地で交流できるようになれば、ゴリラや自然に対する考え方も深まるに違いありません。
ポポフの代表者ジョン・カヘークワが始めたゴリラの人付けは順調に進んでいます。まだゴリラたちが観光客を受け入れるまでには至っていませんが、少しずつ観察できる時間が増えてきました。子どもゴリラたちもおそるおそる葉蔭から顔をのぞかせて、人間の訪問者をのぞき込むようになりました。来年の今頃には、すでに人付けされているチマヌーカ集団のように、優しく観光客を迎えてくれるだろうと思っています。

低地熱帯林の村イテベロで村長さん(右)と保護区の境界を確認するジョン・カヘークワ(左)低地熱帯林の村イテベロで村長さん(右)と保護区の境界を確認するジョン・カヘークワ(左)

お父さんゴリラの陰で好奇心の目を向ける子どもゴリラお父さんゴリラの陰で好奇心の目を向ける子どもゴリラ