ページ内移動用のリンクです


CSR活動

「ポレポレ基金」活動レポート(2014年10月1日~12月31日)ブッシュミート取引を防止するポポフの活動(2014年11月~2015年1月)

ブッシュミートと内戦

ブッシュミートとは、野生動物の肉のことです。アフリカ大陸の真ん中を南北に走る大地溝帯の西側にすむ人々は、昔からブッシュミートを食料にしてきました。熱帯雨林が広がるこの地帯はツエツエバエが媒介する眠り病などの風土病が多く、牛などの大型家畜を飼えません。樹木が密に生い茂り、家畜が食べられる草があまり生えないので、牧場を作るのも難しい。そのため、人々は熱帯雨林に生息する野生動物をおもなタンパク源としてきたのです。
この習慣は長い間、人々の食文化の中心でしたから、国立公園ができ、国の保護動物が指定されて捕獲が禁じられても、なかなかやめることができません。しかも、現在ポポフが活動しているカフジ・ビエガ国立公園には、1970年以前はトゥワ人が狩猟採集生活を行っていました。国立公園を設立した際、トゥワ人は公園から立ち退きを命じられ、公園周辺の農耕民の村に住むことになりました。慣れない農耕生活にはなかなか馴染めず、かといって公園の保護区以外にもう野生動物がいる森は残っていません。そこでトゥワ人たちはこっそり保護区へ侵入し、薬草、キノコ、蜂蜜を採集し、農作物と交換して生計を立ててきました。ときどきわなを仕掛けたり、槍で小型の動物を狩って、公園の監視員に逮捕されることもありました。でも、彼らの活動は微々たるもので、公園に住む多くの動物を危機に陥れることはありませんでした。
ところが、1996年に内戦が勃発すると事情は一変しました。兵士たちによって村々は焼き払われ、畑は踏みしだかれ、人々は公園に逃げ込んで身を守りました。食物はなくなり、人々は野生動物を狩って、飢えをしのぐようになりました。公園の監視員たちは反政府勢力に銃を取り上げられ、公園は無法状態になりました。このとき、かつて狩猟採集生活をしていたトゥワ人の知恵と技術が復活し、人々は先を争ってトゥワ人を雇い、野生動物を狩りたてていったのです。

(左)公園事務所に集められた密猟によるゾウの頭骨公園事務所に集められた密猟によるゾウの頭骨

(右)ポポフのアーティスト、ダビッド・ビシームワが描いた「兵隊たちと一緒にゴリラを食べる人々」ポポフのアーティスト、ダビッド・ビシームワが描いた「兵隊たちと一緒にゴリラを食べる人々」

内戦後の取り組み

2000年に私たちがゾウとゴリラの個体数を調査した結果、内戦前に450頭の生息が推定されたゾウはわずか数頭に、258頭を数えたゴリラは半分の130頭に激減しました。この危機を脱するために、ポポフは公園当局と協力して密猟者たちに呼びかけ、これまでの罪は問わないので、保全に協力してくれれば雇用すると約束しました。多くの密猟者がこの誘いに応じ、以来ポポフは彼らをアートセンターや苗木センターで雇用してきました。
また、カフジ・ビエガ国立公園が作られた目的や法律の持つ意味を理解してもらうため、環境教育学級を開いて、子どもたちだけでなく密猟者やその妻たちに学習の機会を提供してきました。とくにトゥワ人たちは識字率が低く、まずアルファベットを習うところから始めました。女性は洋裁を習って洋服を作り、それを市場で販売して生計を立てるようになりました。
しかし、いくら密猟が減っても、野生動物の肉に代わるタンパク源を保証しなければ栄養条件は悪化するばかりです。ポポフが公園周辺に住む10家族を対象に行った調査では、毎日摂取する動物タンパク質の量は体力を維持する必要量に満たず、食べ物を煮炊きする燃料はほとんどが薪や炭によって賄われていました。これでは人々がブッシュミートや薪を取りに公園に侵入するはずです。そこで、ポポフは人々にブタやニワトリを配り、子どもたちでも飼育できるモルモットを肉用家畜として与えて、動物タンパク源を増やす努力をしてきました。また、養魚池をつくって成長の早いテラピアを放流し、定期的に網ですくいあげて村に配ってきました。
それでも、今回ポポフが低地の村々を回ると、まだブッシュミートが販売されていることが明らかになりました。燻製にして保存してあるレイヨウ類の肉がいたるところで見つかったのです。なかにはこの地方にしか見られないフクロウグエノンなどの種も含まれていました。ポポフは村々でキャンペーンを行い、このままでは野生動物が絶滅してしまうことを訴え、ポポフといっしょに保全活動を推進するよう勧めました。多くの村人たちがこの誘いに応じて、ブッシュミートの代わりに養魚池や家畜を殖やすことを決めました。

(左)低地の村で見られたレイヨウ類の燻製肉低地の村で見られたレイヨウ類の燻製肉

(右)低地で新しく参加したポポフのメンバー低地で新しく参加したポポフのメンバー

アンガ中学 図書館建設中

うれしいことに、かねてよりの懸案だった図書館の建設が開始されることになりました。すでにアンガ中学校の敷地に建てられることが決まっており、設計図も完成しています。12月に日本から送った資金が届き、もうすぐ土台が打ち込まれる手はずになっています。図書館が完成したら、世界各地から本を送り、ポポフの子どもたちにたくさんの本を読んでもらおうと思っています。世界中の動物の話が言葉だけではなく、絵や写真で見られるようになり、カフジ・ビエガ国立公園に住んでいる動物たちを見る目も変わってくることでしょう。図書館におとなたちも集って、コンゴの自然や動物たちの話をしてくれればいいなと思っています。ポポフの手でコンゴの絵本ができるかもしれません。
カフジ・ビエガ国立公園で、観光客を受け入れているチマヌーカ集団のゴリラたちはみんな元気です。今では村の子どもたちに名前を覚えてもらい、みんなの人気者になりました。ゴリラたちが絵本に描かれて、図書館に登場するのもそれほど遠い先の話ではないだろうと期待しているところです。

いつも泰然自若としているチマヌーカいつも泰然自若としているチマヌーカ