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CSR活動

「ポレポレ基金」活動レポート(2015年4月1日~6月30日)密猟をなくすためのポポフの試み

ポレポレ基金日本支部 山極壽一2015年7月

内戦で密猟が増加

ポポフが活動しているコンゴ民主共和国東部のカフジ・ビエガ国立公園には、ゴリラやチンパンジーをはじめ多くの野生動物が生息しています。大型の動物としては、ゾウやヤブイノシシシ、ミズマメジカ、シタトゥンガなどがいて、これまでに44種の哺乳類の生存が確かめられています。しかし、1996年の内戦以来、国立公園の監視体制が弱体化し、不法な狩猟活動によりコンゴを代表する貴重な動物たちが数を減らしてきました。ゾウはその代表例です。
ここのゾウはサバンナにすむサバンナゾウとも低地の森林にすむマルミミゾウとも違います。サバンナゾウのように体が大きいのに、マルミミゾウのように耳が丸く、牙がまっすぐなのです。全長3メートルを超える、まっすぐな象牙がこの地にある中央科学研究所に保管されていたこともあります。これまでの記録で3番目に長い象牙だそうですが、残念ながら少しずつ切り取られて盗まれ、政治動乱の最中に消失してしまいました。1990年代の中ごろには450頭を数えた高地のゾウも戦争中に殺されて食料にされ、ほとんど姿を消してしまいました。

お母さんの背に乗って運ばれるゴリラの子ども

お母さんの背に乗って運ばれるゴリラの子ども

不法活動を減らすために現地の生活を調査

1996年に260頭いたゴリラも半減しました。21世紀に入ってからも政治的に不穏な情勢が続き、密猟、不法な伐採、地下資源の採掘などが絶えず、多くの動物たちが生息地を荒らされ、食料として消費されて数を減らしました。そういった不法な活動を何とか減らせないものかと案じて、1990年代に300人近い人々を対象にポポフが実施したインタヴュー調査では、「腹が満たされない限り、食料獲得や現金収入になる活動を止めるわけにはいかない」という答えが大半でした。
そこで21世紀に入ってから、ポポフは2つの村でそれぞれ5家族を選び、毎日消費するエネルギー源と食料の種類や量をモニターしました。その結果、10家族すべてが薪や炭で火や明かりを得ており、石油を購入しているのは1家族だけでした。
家畜は10家族の平均で、ニワトリが6羽、モルモットが6頭、ウサギが1羽、ブタが1頭、ヤギが2頭でした。しかし、動物タンパク質の摂取量は必要量を満たしてはいませんでした。人間の1日に必要な動物タンパク質の量は体重1キログラムあたり2グラムとされています。ところが、10家族のおとな一人当たりの量は肉で29グラム、魚で32グラムでした。少なくとも100グラムは必要なのに、その半分あまりしか摂取できていません。しかも、まったく動物タンパクを摂取していない日も多いのです。成長盛りの子どもたちには、体重あたりおとなよりもっとたくさんの動物タンパク質が必要です。これでは満足に成長できなくなります。
この土地では主食はキャッサバという植物の根塊を乾かして粉にし、それを熱湯で練ってお餅状にしたウガリです。コウリャンやトウモロコシの粉を同じように練る場合もあります。このウガリを、豆を煮たマハラギといっしょに食べたり、肉や魚をヤシ油で炒めて煮たスープにつけて食べたりします。子どもたちはこのスープを、とっても楽しみにしているのです。

調査した各家族が食事あたりに用いた燃料の頻度

調査した各家族が食事あたりに用いた燃料の頻度

調査した各家族の1日一人当たり食べる動物たんぱく質の量

調査した各家族の1日一人当たり食べる動物たんぱく質の量

動物タンパク質確保のため飼育動物を増やす

ポポフは動物タンパク質の補給対策として、ブタやヤギを人々に配り、飼育動物を増やすことにしました。また、子どもたちにも飼育できる動物としてモルモットに着目しました。草食のモルモットは小さな囲いで飼育でき、子どもたちが学校の帰りに摘んでくる草を餌にできます。成長も早く、子どもたちに貴重な動物タンパク源となります。この試みは大成功で、多くの家族がモルモットを増やし、子どもたちが飼育を担当して食料にするようになりました。
また、ポポフのアンガ中学校に養魚池を作り、生徒たちが管理して定期的に池をさらい、村に配ることも実施しています。魚は市場より安価で販売し、そのお金で学用品を整えることにしています。おかげで公園内の密猟は最近めっきり減りました。また、密猟の噂を耳にすると、生徒たちがそれを非難するようになりました。

日本のポポフの会合で、バサボセさんが現地の子どもたちの暮らしについて話す

日本のポポフの会合で、バサボセさんが現地の子どもたちの暮らしについて話す

将来の生活を見通すために学校をつくる

しかし、こうした試みを理解してもらうためには、やはり将来の生活を見通すための知識が必要です。法律を理解し、他の国や地域で行われている事例を知り、自分たちの文化を建て直し、誇りをもって将来の暮らしを計画するためには、本を読んでさまざまな知識を蓄えねばなりません。中年以上の世代にはまだ字を読んだり書いたりできない人々がたくさんいます。
とくに、1970年の国立公園設立以前に、保護区の森で暮らしていた狩猟採集民のトゥワ人は、学校で学ぶ機会がありませんでした。そこで、ポポフはさまざまな世代を対象に環境教育をする学校を作りました。最初に作ったのが、子持ちの母親たちと就学前の児童向けの学校でした。文字を十分に読めない母親たちに言語教育をして、子どもたちに自然と交わる知識を教えました。その後、小学校や中学校(中学と高校をあわせた6年間)にも環境教育学級を増やし、校舎を新設してきました。今では千人近い生徒を抱える大所帯となりました。
現在は、この敷地に図書館を建てて、生徒ばかりでなく、村人たちが集って学習できる場所作りをしています。もうすぐ完成の見込みで、日本をはじめ諸外国から本を寄付してもらい、学習環境を整えようと思っています。また、自分たちで地元の昔話をまとめて本を作ろうと計画しており、夢はだんだん広がっているところです。いつか、カフジで制作した本を日本に紹介できる日がくるだろうと期待しています。

水を汲むのは毎日欠かせない仕事

水を汲むのは毎日欠かせない仕事