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CSR活動

「ポレポレ基金」活動レポート(2015年10月1日~12月31日)持続的な自然保護と自立へ向けて

ポレポレ基金日本支部 山極壽一 2016年1月

内戦とゴリラツーリズムの低迷

この20数年間、ポポフはエコツーリズムの振興による地元経済の発展を目指してきました。ポポフが活動を始める1992年までの6年間はゴリラツーリズムの全盛時代で、毎年7000人を超える観光客が訪れました。ゴリラを観察するために観光客が支払う料金は、1980年代の初めには1人10ドルでしたが、しだいに値上がりし、ポポフ設立当初には100ドルを超え、今では500ドルに達しています。ゴリラの観察料だけでなく、絵葉書や民芸品などのグッズの販売や、山登りなどのエキスカーションの料金による収入で、地元はだんだん潤い始めていました。しかし、1994年の隣国ルワンダにおける内戦を皮切りに、コンゴ民主共和国内にも内戦が起こり、現在に至るまで政治的に不穏な状況が続いています。観光客の数は目だって減り始め、今では年間100~200人といったところを低迷しています。

子どもたちの人気者のシルバーバック、チマヌーカ

難民援助・密猟防止から大学進学推進まで活動を拡大

1994年、カフジ・ビエガ国立公園のすぐそばに40万人規模の難民キャンプができてから、ポポフは活動方針を難民援助と密猟防止に切り替え、1997年には苗木センターを開設して村人たちに植樹を呼びかけました。そして、1999年には母親と幼児のための環境教育学級を創設し、それを2001年には小学校、2004年には中学校へと拡大していきました。

ゴリラの話を聞くポポフの学校の生徒たち

コンゴでは小学校は7年制、中学校は6年制で、中学の最終学年にバカロレアというフランスとも共通な全国一斉試験を受験します。これに合格すれば、大学に入学する資格が得られることになっています。これまで、ポポフのアンガ中学校の生徒は、全国で3位の成績でバカロレアに合格していますが、残念ながら入学金や授業料の工面がつかず、これまで実際に大学生になれたのはわずか3%に過ぎません。大学の学士課程はベルギーと同じく5年ですが、1千キロ以上離れた首都のキンシャサにある大学や、大都市のルブンバシやキサンガニの大学で暮らすには生活費がかかります。苦労して大学を卒業しても、経済状態が悪化しているコンゴではなかなかいい就職先が見つかりません。
そこで、カフジ・ビエガ国立公園の近くの都市ブカブに、21世紀になってから創立された州立のブカブ大学にポポフの卒業生を入学させることを推進しています。ここには農学部があり、そこで林学や国立公園の運営などに関する実践的な学問を学ぶことができます。しかも、公園の近くには国立の中央科学研究所や農業研究所があって、研究者に話を聞いたり、現場で実践を学ぶことができます。とくに、地元の公園の動植物や農産物を対象にして学ぶことは、その知識や技術を将来役立てる上でとても有利だと思います。

生徒たちに実習するブカブ大学の卒業生

自律的な経済を模索

さらにポポフは、アンガ中学校の卒業生やブカブ大学の卒業生を雇用して、あるいはボランティアとして協力してもらい、地元の環境保全活動や村の自立支援を推進することにしました。一向に伸びない観光客の収入を当てにするより、村人たちの手で持続的な環境利用を図りながら、自立的な経済を模索するほうが現実的だと考えたからです。

ポポフが推進している活動はたくさんあります。

  1.  1)苗木センターの運営と苗木の村への配布、苗木の成長管理と木材としての利用の指導
  2.  2)養魚池の管理と収穫したテラピアの配布
  3.  3)ブタやヤギなどの家畜の飼育と配布
  4.  4)小学生にできるモルモットの飼育指導
  5.  5)アートセンターの維持管理と販売促進
  6.  6)村の食料事情や影響状態についての調査
  7.  7)村の相互扶助システムの開発と基金の運営管理への助言
  8.  8)小学校や中学校の教育補助や実践教育

などです。

ポポフの生徒たちが飼育するブタ

建設中の図書館に屋根がつきました

昨年より続けている図書館の建設はやっと最終段階に入り、屋根がつきました。後は壁を塗り、机や椅子を整えて、いよいよ図書を導入する運びとなります。本がそろえば、国内外のさまざまな知識を子どもたちが直接学べるようになるでしょう。
ポポフの学校では、生きた教材としていつもゴリラが取り上げられます。ポポフの会長を務めるジョン・カヘークワが定期的にゴリラの近況を持ち寄り、子どもたちに講義をしているのです。チマヌーカやムガルカ、ムピンドゥワなど名前のついたゴリラたちの様子が語られ、子どもたちはとても熱心にゴリラの暮らしに目を向けています。15歳以上でないとゴリラを観察できない決まりになっているので、多くの子どもたちは直接観察できませんが、私たちが撮り貯めた写真や映像を見て、いつかゴリラと実際に出会える日を心待ちにしているのです。

ポポフがアンガ中学校に建設している図書館