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CSR活動

「ポレポレ基金」活動レポート(2016年7月1日~9月30日)ポポフグッズを制作する

ポレポレ基金日本支部 山極寿一 2016年10月

自然と文化をポポフグッズで表現

ポポフは、1992年の開設当初から活動資金を得るためにポポフグッズを制作してきました。もともとゴリラを見にやってきた外国人観光客の目をゴリラ以外の自然と地元の文化に向けさせ、グッズを通じて交流を図ることが目的でした。

最初に制作したのは絵葉書です。ポポフの誇るアーティストのダヴィッド・ビシームワが、美しいシルバーバックや愛らしい子どもゴリラの絵の他に、国立公園をパトロールする監視員や植樹をしている村人たちの姿を描き、それを絵葉書として売り出しました。1枚1ドルで売れ、観光客がたくさんやってきた頃はいい収入になりました。私たちポポフ日本支部もカフジ・ビエガ国立公園のヒガシローランドゴリラの写真を混ぜて、日本でも通信販売を始めました。ゴリラの愛好家やポポフの活動に興味を持つ人がニュースレターでそれを知り、購入してくれたおかげでいくらかまとまった活動資金をポポフ本部へ届けることができました。

お母さんに甘えながら付いて歩くゴリラの赤ん坊 お母さんに甘えながら付いて歩くゴリラの赤ん坊

内戦で観光客が途絶え、世界に発信するグッズに変更

しかし、1994年に隣国ルワンダで内戦が起こって大量の難民がこの地に押し寄せ、1996年には地元で内戦が勃発する事態となりました。治安が悪化して観光客の足は途絶え、ポポフグッズの売れ行きも極端に減少しました。やってくる外国人は観光客ではなく、難民を援助するNGOや内戦を監視する国連の兵士たちがほとんどです。そこで、ポポフは観光客相手ではなく、世界の人々へ向けてメッセージを込めたグッズを制作することにしました。難民や内戦の様子を取材するために時折ジャーナリストやテレビなどのメディアがやってきます。そうした人々にゴリラの現状やゴリラを保護するために現地の人々が払う努力を知ってもらい、世界へ発信してもらおうと考えたのです。

制作に励むポポフのアーティスト 制作に励むポポフのアーティスト

ポポフが目をつけたのは自動車のバッテリーです。国立公園のすぐそばに巨大な難民キャンプができてから、難民支援のためのさまざまな団体がやってきて、公園周辺は車であふれかえるようになりました。悪路でたくさんの車が壊れ、ポンコツになった車が放置されます。それは美しいカフジの森や山に不似合いな光景でした。そこで、ポポフは打ち捨てられた車から使用済みのバッテリーを取り出し、心棒の鉛を溶かしてゴリラの形のペンダントを作成しました。鋳型はダヴィッドが作り、もと密猟者だった人々がポポフに雇われて制作を手伝いました。これを現地の外国人に販売したり、ヨーロッパや日本に送ってビーズなどで装飾して売り出したのです。「もう車で自然を荒らすのは止めてほしい。海外から入ってきた車の部品をきれいなゴリラの姿にしてお返しします」というのがそのメッセージでした。鉛は直接体に付けるのは危険なので、日本支部ではコーティングして販売しました。

次に制作したのはウシの角を使ったペンダントやキーホルダーです。ポポフの地元ではアンコーレウシというとてつもなく大きな角をしたウシがいます。食料としても、結婚のときに新郎が新婦の親に払う婚資としても重要で、ウシを増やすことが住民たちの目標でした。しかし、内戦の中で家畜は兵士たちに没収されてことごとく消費されてしまいました。残ったのは角だけです。そこで、角を削ってゴリラの姿を彫り、それにビーズをつけて素敵な飾りにしました。メッセージは「私たちに残されたのはウシの角だけだが、いつかウシそのものがもどってくるのを期待している」ということです。これは日本でも人気のグッズとなりました。今でも販売しています。

ポポフのアーティストが制作した夫婦ゴリラの彫刻 ポポフのアーティストが制作した夫婦ゴリラの彫刻

製作者のゴリラへの気持ちが伝わるグッズが次々と

ポポフグッズの人気が上がってくると、今度は地元の木材を使ってゴリラの彫刻を作るようになりました。熱帯雨林の樹木は成長が速く、やわらかくて彫りやすいものが多いので、ダヴィッドの試作品をもとにみんなで協力して仕上げました。白っぽい木が多いので、彫った後に黒く塗ってゴリラらしくしてあります。手彫りなので、顔の表情や姿勢もまちまちで、それぞれ個性たっぷりです。製作者のゴリラに対する気持ちがこもっていて、地元の人たちがゴリラをどう見ているかが伝わってきます。

また、ミシンを購入して服の仕立ても始めました。狩猟採集民の妻たちが洋裁を習い、まず国立公園のレンジャーの服を仕立てました。ポポフのマークの入ったシャツを作って市場で売り出し、ポポフの活動普及に努めています。

洋裁教室に参加した女性たち 洋裁教室に参加した女性たち

この夏は、ポポフのアンガ環境学級の生徒たちに木工を教え、ポポフグッズを制作してもらいました。なかなかの出来栄えで、これを販売して学資の支援や教材の購入に当てる計画です。ポポフグッズを通じて、ゴリラばかりでなく、ゴリラとともに生きる人々の暮らしを紹介し、その気持ちを伝えられればいいなと思っています。

ポポフグッズ制作に挑戦した子どもたち ポポフグッズ制作に挑戦した子どもたち