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CSR活動

「ポレポレ基金」活動レポート(2016年10月1日~12月31日)ポポフがTusk Conservation Awardを受賞

ポレポレ基金日本支部 山極寿一 2017年1月

ポポフの活動が表彰される

ポポフの代表者ジョン・カヘークワが、この度Tusk Conservation Awardを受賞しました。(http://tuskawards.com/

この賞は2013年に創設され、アフリカで卓越した自然保護の業績をあげた個人に授与されるもので、とくに実践的なフィールドワークと環境教育の成果が対象となります。1990年台からアフリカの自然保護を目的に活動を続けていたTusk Projectが、2003年にNPOとしてニューヨークに本部を置くようになり、2005年にはイギリスのケンブリッジ公ウィリアム王子がパトロンとなりました。以来、TuskはPan African Conservation Education (PACE)と呼ばれる環境教育や自然保護に関する持続的な政策に資する教材や映像を提供してきました。今までに、アフリカで15万人以上の子どもたちがこのプログラムを受けています。

授賞式は、昨年11月30日にロンドンのヴィクトリア&アルバート博物館で催されました。ジョンは授賞式に出席するために1カ月前からビザ取得などの準備をして、かろうじて受賞前日にロンドンに到着しました。授賞式では、ウィリアム王子がWilliam Awardをジョンへ授与し、デヴィッド・アッテンボロー氏が南アフリカとアンゴラの自然保護官にそれぞれTusk Conservation AwardとWildlife Ranger Awardを授与しました。

ジョンの受賞理由は、25年にわたってポレポレ基金の代表者としてゴリラをはじめとする野生動物の保護に尽力し、相次ぐ内戦にもかかわらず住民たちの環境教育に貢献した功績が認められたということです。とくに、子どもたちに対する環境教育は大きな貢献として評価されたと聞きました。

授賞式でジョンは、カフジのゴリラにとって致命的な時期にこの賞が贈られたことに感謝の意を述べました。昨年、カフジ一帯に生息するヒガシローランドゴリラは、マウンテンゴリラと同じ「高い絶滅の危機に瀕する」(Critically Endangered)種としてIUCNのRed Listに登録されたからです。また、コンゴ民主共和国では内戦を恐れて観光客の足が途絶え、ゴリラを保護するための基金が得られない状況であることも訴えました。しかし、ジョンは希望を失ってはいないこと、ゴリラといっしょに過ごす魔法のような時間を子どもたちの世代が、そしてウィリアム王子の子どもたちが味わえる日がきっと来ると述べました。また、この賞はカフジ・ビエガ国立公園で働くすべての人々、ポレポレ基金の仲間、妻のオデットや子どもたちと分かち合いたいと感謝の言葉で締めくくりました。とても感動的なスピーチだったそうです。

家族で受賞を喜ぶジョン・カヘークワ 家族で受賞を喜ぶジョン・カヘークワ

ポポフ25年の歴史

振り返ってみれば、長い道のりでした。1992年に、カフジ・ビエガ国立公園のガイドだったジョンが、それまで貯めたガイドの手数料を元手に立ち上げたのがポレポレ基金です。野生動物の保護をめぐって公園側と地元住民の対立が深まるのを何とか和らげようとしたのです。観光客の関心を村へ向けて外貨を落とし、ゴリラの保護へ村人たちの参加を呼びかけ、自立的な保全活動を展開してきました。その間、隣国ルワンダから内戦にともなう大量の避難民の流入、地元の内戦勃発、引き続く密猟や地下資源の密掘の急増で、ゴリラやゾウをはじめとする多くの野生動物が犠牲になりました。ポポフは何度も活動方針を変えることを余儀なくされ、観光客の誘致やゴリラグッズの制作から、難民の援助や密猟の調査などに切り替えて活動を続けてきました。

カフジ・ビエガ国立公園の事務所に集められた密猟にあったゾウの頭骨 カフジ・ビエガ国立公園の事務所に集められた密猟にあったゾウの頭骨

しかし、当初から変わらず力を注いできたのは、苗木センターと環境教育学級の経営です。多くの子どもたちがこの学級で地元の自然とゴリラを守る大切さを学び、苗木の育成とその植樹に取り組んできました。苗木はすくすくと育って村の周りに茂り、村人たちがたきぎや建材に用いるため、保護区の木がむやみに切られることはなくなりました。養魚池も完備し、環境教育学級の子どもたちによって管理されています。図書館もできて、子どもたちの勉学意欲も高まっています。

Tusk Conservation Awardの受賞を通じて、これらのポポフの活動が世界に知られ始めたのはとても嬉しいことです。1993年の設立以来、ポポフの活動を支えてきたポポフ・ジャパンとしても、長年の苦労が報われたという気持ちでいっぱいです。幸いなことに、最近は地元でもゴリラの人気が急上昇し、ゴリラが密猟によって命を落とすことはなくなりました。まだ観光客はもどってきていませんが、時々訪れる人々によってカフジのゴリラの魅力は確実に世界に伝わっていると感じています。ポポフの活動がより一層、地元や世界の人々の協力を得て発展することを心から願っています。

お母さんゴリラの背中で興味深くこちらを見る赤ちゃんゴリラ お母さんゴリラの背中で興味深くこちらを見る赤ちゃんゴリラ