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CSR活動

「WCSコンゴ」活動レポート (2011年8月30日~9月30日)コンゴ共和国プロジェクト

(執筆者:西原智昭(WCSコンゴ)、写真提供:西原智昭・西原恵美子)。

このたびは、JX日鉱日石エネルギー株式会社が社会貢献活動の一環として、エネゴリくんクリック募金を始められ、日本のNPO・JWCS(野生生物保全論研究会)の「生息地支援プロジェクト」を支援することになったことに、感謝の言葉を申し上げます。

このプロジェクトの一つとして、JWCSの理事の一人である私・西原が日々の仕事をしているWCSコンゴ(コンゴ共和国で実施中。WCSについては注をご参照下さい)の「野生ニシローランドゴリラ研究保全プロジェクト」に支援が決まりました。このクリック募金に賛同してくださった皆さまに、あらためてお礼を申し上げます。

活動の場所

コンゴ共和国北部には、アフリカ大陸の中でも有数の熱帯林(写真左)があります。そこには今も豊かな自然環境が残されており、たくさんの野生生物が暮らしています。とくに、1993年にWCSからの意見のもとに新しく作られた約4,000km2の面積のヌアバレ・ンドキ国立公園は世界でも数少ない原生的な熱帯林で、その周りの地域も含めて、野生のニシローランドゴリラが数多く暮らす地球上で大変貴重な地域です(下部地図参照)。

地図

どんな活動をしているの?

この地域でのニシローランドゴリラの調査は、WCSよりも前に、京都大学の類人猿研究チームが1988年に始めました。私も1989年から関わり、ゴリラの生態学の調査の成果をもとに1994年に博士号を取りました。このたびの皆様からいただく支援の資金は、そのときに調査した場所に近い「モンディカ」でのゴリラの研究と保全活動に活用させていただきます。

モンディカ地域は正確に言うと、国立公園の中ではありませんが、その南西部に隣りあっている場所(地図参照)で、「特別保護地域」に指定されています。この地域はもともとゴリラの頭数が多かったことから1980年代後半から調査されていましたが、本格的な調査は1995年からアメリカのStony Brook(ストーニーブルック)大学の研究者たちにより始まりました。最大の目的は、密林の中で直接観察することが難しいゴリラを「人付け」(餌などまったく与えずにゴリラが人間の存在に慣れることで、自然状態でのゴリラが観察できる方法)作業をすることでした。その後2005年以来、研究は当国立公園とその周辺部の管理に関わるWCSに任せられ、現在に至るまで、二つのゴリラ・グループが人付けされました(写真右)。

人付けされたこれらのグループについては、一頭一頭がわかるように個体識別され、それぞれのゴリラのライフストーリー、つまり、食事の内容や、個体同士の社会関係、グループ同士の関係など、これまで明らかにされていなかったことを探るために、多方面にわたる長い調査研究が進んでいます。

また、2007年からはエコツーリズム(写真左)を始め、海外からの旅行客にもこれらのゴリラ・グループの観察ができるように協力しています。日本では、すでにツアー会社(株)道祖神が現地へのツアーを企画しています(http://www.dososhin.com)。日本からのお客さまには、私・西原による現地での直接のガイドやセミナー付きのツアーができるように試みています。また、世界でも珍しい人付けに成功したニシローランドゴリラをテレビや新聞などで報道しようと、世界各地から撮影隊や写真家、ジャーナリストも訪れています。今年の11月後半からは日本の写真家が現地に来ることになっています。

WCSは、これからも長い期間にわたり、このモンディカ地域を中心としたニシローランドゴリラの研究とエコツーリズムを続けていく考えです。ただ、研究者、トレーニング中のコンゴ人研究者、ゴリラを追って生態を探る調査者(トラッカー)などの人件費、食料や装備、施設などのキャンプ維持費、さらにアクセスの悪いモンディカまでの物資補給のための輸送費など、さまざまな経費がかなりかかっています。一方、キャンプの収容人数の範囲内で、そして人がいることによるゴリラへの影響ができるだけ少ないように、人数を制限したエコツーリズムであるため、それによる収入ですべての活動費が賄えていないのが現状です。そのために今まではさまざまな経費すべてに見合うようWCS独自に資金などで割り当ててきました。ゴリラの保全プロジェクトを続け、さらに良くしていくためにはさらなる資金が必要となってきています。それはエコツーリズムがスムーズにまわっていくことにもなります。今回皆さまからいただく支援金は、この一部に充てる方向で考えております。

ゴリラに迫る危機と、これからの活動

今回以降の活動レポートでは、この支援金がどのような形で活用され、その結果得られたモンディカのゴリラの研究成果のトピックや、エコツーリズムの状況などについて報告をしていきます。モンディカという世界で類をみない場所とその地でのニシローランドゴリラの保全はとても大切なことです。しかし、ゴリラの肉やペット取引を目的とした密猟、ゴリラの暮らす大事な熱帯林の伐採、そして恐ろしいエボラ・ウィルスの感染による病気などで、このままだとニシローランドゴリラは絶滅してしまいます。また、モンディカ地域以外でも、WCSの関わるニシローランドゴリラの保全やWCSコンゴが実施しているゴリラを含めた野生生物保全に関する現地での教育活動にも、この支援金を活用することもあると思います(左:ゴリラの保全教育活動に使用しているWCSコンゴ作成の教科書の表紙)。

これからも、皆さまのあたたかいご支援を、どうぞよろしくお願い申し上げます。

注:WCS = Wildlife Conservation Society. ニューヨーク・ブロンクス動物園に本部を置く国際野生生物保全NGO(http://www.wcs.org)。WCSコンゴはそのコンゴ共和国支部である。JWCSとは名は似ているがまったく別の組織。西原は1989年以来、コンゴ共和国、ガボン共和国などアフリカ中央部・熱帯林地域にて、調査研究、国立公園管理、自然環境保全などに従事。現在、西原は、ヌアバレ・ンドキ国立公園とその周辺地域での自然環境保全マネージメント技術顧問を務めている。西原のプロフィール詳細は、http://www.arsvi.com/w/nt10.htmを参照のこと。