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CSR活動

「WCSコンゴ」活動レポート (2012年1月1日~3月31日)コンゴ共和国プロジェクト

西原智昭 2012年4月

2012年1月から3月にかけてのクリック募金による寄付は、これまでと同様に、コンゴ共和国・モンディカの森での活動「トラッカー(ゴリラを追って生態を探る調査者)や現地ガイドの人件費の一部、事業継続に必要な補給食料代、発電機・自動車修理費の一部、そしてモンディカ・プロジェクトの主任アメリカ人研究者の出張費用等」に活用させていただきました。

2月には、教育学を学ぶ日本の大学院生が研究の一環として、モンディカを訪れました。モンディカ・プロジェクトで、ゴリラを毎日追跡するトラッカーは、狩猟採集民と呼ばれた森の先住民です。彼らの森に関する優れた知識や森を歩く能力無しでは、モンディカでのゴリラの保全は成り立ちません。学生の関心事は、「彼らの子どもたちが、既に受けている近代的な学校教育の影響により、先住民の元来持つ伝統的な技能や知識が今後喪失してしまうのではないか?」、また「『近代教育』と伝統文化を維持するための『森の中での教育』とのバランスを彼ら自身がどのように今後見つめていくのか?」という点です。学生は、モンディカ滞在中、西原の指導の下、トラッカーたちと話をしたり、実際に彼らと森の中を歩いたりして、彼らの持つ技能や知識の一端を学びました。こうした形で、一人の日本人でもゴリラや先住民について関心を持つようになるのは、現地の課題や様子を多くの日本人に知っていただくためにも、とても大事な事でしょう。

4月には、モンディカにオーストラリアから撮影隊が訪れました。モンディカのゴリラの撮影を通じて、世界中の人々にゴリラの素晴らしさとその保全の重要性を伝えることが目的です。

偶然、撮影隊の滞在中、人付けされたゴリラのグループのひとつ、ブカ・グループの子どものゴリラ1頭が地面に倒れているのが発見されました。背中に傷を負い動けぬ様子で、おそらく誤って木から落ちて背中にダメージを受けたのではと考えられました。初めのうちは、母ゴリラが動けぬ子どもを背負って遊動を続けていました。数日後、子どものゴリラはグループから150mほど後方に残されていましたが、その日の晩は、いつものように母ゴリラと同じ巣の中で眠りました。しかし、翌朝からこの子どものゴリラはグループから取り残され、その日を境に、辛うじて周辺にあった野生のショーガを食べてはいましたが、急激に体が弱った様子で、それから数日後には静かにその死が確認されました。悲しいことですが、この様に予期せぬ事故により、命を落としてしまうゴリラもいることが自然界ではあるのです。

モンディカでゴリラの映像をとるオーストラリアの撮影隊c Michael Stuckerモンディカでゴリラの映像をとるオーストラリアの撮影隊© Michael Stucker

モンディカの森で背中の傷で横たえるゴリラのコドモc Michael Stuckerモンディカの森で背中の傷で横たえるゴリラのコドモ© Michael Stucker

ところが、落胆していた同じ日に、人付けされたもうひとつのグループ、キンゴ・グループのメスが妊娠していることが確認され、新たな生命の誕生が近いという朗報がありました。

ゴリラも生と死を繰り返しながら、何百万年と森の中で生活をしてきたのです。ゴリラは今、熱帯林伐採や密猟など人間による大規模な活動により生存の危機に面しています。モンディカを始め、アフリカ熱帯林のニシローランドゴリラの保全に更なる力を注いでいかなければ、やがて、絶滅の道をたどる日も遠くはないでしょう。クリック募金は、ゴリラの保全活動に大きく貢献しています。今後とも、ご支援をよろしくお願いいたします。

モンディカの森に棲息するニシローランドゴリラのコドモ© Michael Stuckerモンディカの森に棲息するニシローランドゴリラのコドモ© Michael Stucker