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CSR活動

「WCSコンゴ」活動レポート (2013年1月1日~3月31日)コンゴ共和国プロジェクト

西原智昭 2013年04月

クリック募金による寄付は、2013年2月から4月までの期間では、引き続き、ゴリラの保全、調査、エコツーリズムを実施しているコンゴ共和国・モンディカの森での活動費(人件費、食糧費、維持費等)の一部に活用させていただきました。プロジェクトの全般的な進行状況はサイトを参照されてください(http://congo.wcs.org/WildPlaces/MondikaResearchCentreDjekeTriangle.aspx)。
2013年3月31日には、TBS世界遺産の番組『サンガ川流域の森林地帯~世界で唯一の湿地バイ』が放映されました(西原監修)。日本人にはあまり知られていない野生のニシローランドゴリラの生態と社会、その生息地である熱帯林の様子が紹介され、その美しい映像が好評を得たようです。

(写真1)モンディカ・プロジェクトのマネージャー(中央)と二人のトラッカー(C)WCSコンゴ共和国(写真1)モンディカ・プロジェクトのマネージャー(中央)と二人のトラッカー©WCSコンゴ共和国

(図1)2012年に世界自然遺産に登録された地域(サンガ川流域の森林地帯)(C)西原恵美子(図1)2012年に世界自然遺産に登録された地域(サンガ川流域の森林地帯)©西原恵美子

前回のレポートでもご紹介いたしましたが、これまで当地で調査をしてきたWCSコンゴの研究者がモンディカのプロジェクト・マネージャーに就任しました(写真1)。彼の手腕により、研究とツーリズムを主としたプロジェクトは軌道に乗り始め、スムーズに進行中です。
このレポートの期間は、ゴリラの主要な食物である森の果実が不足する時期にあたります。プロジェクトでは、新たにコンゴ人の研修者を招き、果実のない時期にゴリラが何を食べるのかという課題について、研究を実施・継続中です。果実食の場合は仮に直接食べているところを観察できなくても、ゴリラの糞を調べることで、その中に含まれる果実の種子からどんな果実を食べていたか知ることができます。しかし、果実のない時期には樹木の葉や皮、草の茎など繊維性食物を食べることが知られているものの、糞の分析ではその種類を明らかにすることは容易ではありません。それには、ゴリラのグループを追跡することにより、直接観察をして、どのような繊維性食物を食べているのか、具体的に明らかにすることができます。この研究手法は、すでに人付けされているモンディカのゴリラ(写真2)であるからこそ、可能なものなのです。
写真3は、現地語名でゴンベ(学名Celtis mildbraedii)と呼ばれる樹木の皮をゴリラが食べているところです。過去の分析より、この樹木の葉や皮には、カルシウムなどの栄養分が豊富に含まれており、果実の少ない時期にゴリラがこれを食べることで、必要な栄養分を補給しているものと考えられます。

(写真2)人付けされたシルバーバックのブカ(C)WCSコンゴ共和国(写真2)人付けされたシルバーバックのブカ©WCSコンゴ共和国

(写真3)ゴンベの樹皮を食べるゴリラ(C)WCSコンゴ共和国(写真3)ゴンベの樹皮を食べるゴリラ©WCSコンゴ共和国

人付けされたゴリラの二つのグループ(キンゴとブカ)の追跡調査は継続中で、GPSなどを使用して、両グループの遊動域がさらに詳細に地図上に示されるようになりました(図2)。前回のレポートでも似たような地図を報告いたしましたが、今回はより精細に両グループの移動範囲の重なり部分が少ないことが示されました。またグループの中の個体数の多いキンゴ・グループの方が遊動範囲が大きいと前回結論されましたが、ブカ・グループも予想以上に遊動範囲が大きく、キンゴのものと大きな差が見られないほどです。この地図は果実の不足する時期のデータを含んでおり、食物を探すためにブカ・グループも行動域を広めたことに起因するものと考えられます。こうした遊動域の調査も季節ごとに収集・分析し、季節の違い(あるいは森の果実の存在の有無)によりどのように変動するか、確かめていく必要があります。

(図2)二つのゴリラ・グループの遊動域(黄緑の地域がキンゴ・グループ、黄の地域がブカ・グループ)(C)WCSコンゴ共和国

(図2)二つのゴリラ・グループの遊動域(黄緑の地域がキンゴ・グループ、黄の地域がブカ・グループ)©WCSコンゴ共和国

このようにクリック募金は、野生のニシローランドゴリラの保全・研究活動に大きく貢献し続けていきます。今後とも、ご支援をよろしくお願いいたします。