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CSR活動

「WCSコンゴ」活動レポート (2013年7月1日~10月31日)コンゴ共和国プロジェクト

西原智昭 2013年10月

クリック募金による寄付は、2013年8月から10月までの期間では、引き続き、ゴリラの保全、調査、エコツーリズムを実施しているコンゴ共和国・モンディカの森での活動費(人件費、食糧費、維持費等)の一部に活用させていただきました。プロジェクトの全般的な進行状況はサイトをご参照ください(http://congo.wcs.org/WildPlaces/MondikaResearchCentreDjekeTriangle.aspx)。
この期間も、例年に比べツーリストの数は多くありませんでした。理由の一つは今年の初めより激化した隣国・中央アフリカ共和国の内戦とそれに伴う政情不安の影響もあります。ここモンディカも地理的には中央アフリカ共和国にきわめて近い場所にありますが、パトロール隊による定期的なパトロールの効果もあり、内戦の影響は全く感じられず、ゴリラは平穏に暮らしています。

この期間、ベース・キャンプのインフラ整備の続きとして、9月には新たに4つのソーラーパネルの設置を行ない、無線機などの通信機器やデータ整理に使用するパソコンの電源確保のための改善をしました(写真1)。

(写真1)新たに設置したソーラーパネル4枚とバッテリー2台 (C)WCSコンゴ共和国

(写真1)新たに設置したソーラーパネル4枚とバッテリー2台 ©WCSコンゴ共和国

8月半ばには、コンゴ共和国駐在のフランス大使夫妻がモンディカを訪問され、西原が案内役として同行しました。今回の訪問は私的なものでしたが、フランス大使は野生生物保全や環境保全分野にも関心が高く、野生のニシローランドゴリラの観察を非常に楽しまれていました。そのとき、キンゴのグループは森の中で草本類を食べていました(写真2)。

(写真2)つる性植物の葉を食べるシルバーバック・キンゴ (C)西原恵美子

(写真2)つる性植物の葉を食べるシルバーバック・キンゴ ©西原恵美子

モンディカは国立公園に接する緩衝地域にありますが、実際には伐採区の中に位置しています。モンディカ地域の重要性を認識した伐採会社の決定を国が承認する形で、伐採区の中に環境配慮政策の一環として特別保護区ができました。この伐採会社は、10年来FSC(Forest Stewardship Council)から環境配慮型の伐採業としての認証(FSC認証)を受けている数少ない会社です。そのFSC認証の監査に来たグループが、9月後半にモンディカを訪れ、ゴリラを直接観察することにより、伐採区の中の特別保護区が問題なく保全されている様子を確認しました(写真3)。

(写真3)監査チームのひとりの前方・樹上にゴリラの子どもがいる (C)西原智昭

(写真3)監査チームのひとりの前方・樹上にゴリラの子どもがいる ©西原智昭

ところが10月にはショッキングなことがありました。人付けされているグループの一つであるキンゴ・グループのシルバーバック・キンゴに、深い傷が発見されました(写真4)。写真2と同じキンゴです。森の果実の多い時期は、ゴリラのグループは果実を探して比較的大きく遊動するため、グループのシルバーバックとヒトリゴリラ(単独で行動する)のオスとの遭遇があり、場合によってはメスをめぐっての争いが時折起こります。
しかし、この季節は果実が少なくなる時期にあたり、通常はそうした衝突は多くありません。果実がないため周辺の草本類を食べるようになり、ゴリラは一般に広く遊動しなくなるからです。しかしながら、この傷はシルバーバック同士の争いが起こったことを表しており、しかも傷は深く、傷の場所も頭部に近いことから、かなり激しい衝突だったことを物語っています。
今後、キンゴ・グループの追跡を継続しながら、傷の様子を観察するとともに、推定年齢で40歳を超えると考えられている老齢のキンゴの行く末と、他のシルバーバックに脅かされかねないキンゴ・グループの今後の動向にも注視していきます。

(写真4)傷ついたシルバーバック・キンゴ (C)WCSコンゴ共和国

(写真4)傷ついたシルバーバック・キンゴ ©WCSコンゴ共和国

このようにクリック募金は、野生のニシローランドゴリラの保全・研究活動に大きく貢献し続けていきます。今後とも、ご支援をよろしくお願いいたします。