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CSR活動

「WCSコンゴ」活動レポート (2014年7月1日~9月30日)コンゴ共和国プロジェクト

西原智昭 2014年10月

クリック募金による寄付は、2014年8月から2014年10月までの期間では、引き続きゴリラの保全、調査、エコツーリズムを実施しているコンゴ共和国・モンディカの森での活動費の一部ほか、コンゴ共和国北部全体のゴリラの生息状況調査の経費などにも活用させていただきました。

ゴリラの生息状況調査

モンディカでは、コンゴ人マネージャーのもと、ゴリラのグループであるキンゴ・グループとブカ・グループの追跡を継続しています。現在、2人のコンゴ人研究アシスタントが常駐しており、交代制で、二つのゴリラのグループに関する食性、個体間の社会行動、遊動域に関する調査を実施しております。今回研究者は、ゴリラの食性についてのデータ解析の一部を提供してくださいました(図1)。これは2014年7月から9月までの間、キンゴ・グループ(図の右側)とブカ・グループ(図の左側)との間で、食物の嗜好の傾向にどのような差があるかを示しています。図の説明にある通り、キンゴの方がブカよりより果実を食べる割合が高いのに対し、その一方繊維性食物(葉や草本類の髄)に関してはその逆の傾向があることがわかりました。これは両グループの生活する植物の環境によるものかもしれませんが、要因の究明にはさらなる追跡調査が必要です。

図1.キンゴ・グループ(右側)とブカ・グループ(左側)の食性の傾向の差異を示す(図中、青色:7月、赤色:8月、緑色:9月;Feuilles=葉、 Friuts=果実、 Termites=シロアリ、Tiges=草本類の髄)©WCS Congo

図1.キンゴ・グループ(右側)とブカ・グループ(左側)の食性の傾向の差異を示す(図中、青色:7月、赤色:8月、緑色:9月;Feuilles=葉、 Friuts=果実、 Termites=シロアリ、Tiges=草本類の髄)©WCS Congo

またキンゴ・グループのコドモが一頭死体で発見されました。昨今エボラ出血熱が騒がれておりますが、こちらコンゴ共和国では今回の騒動での事例はまだ発見されておりません。念のため、WCSコンゴ共和国の獣医チームが現場を訪れ、死因解明のために死体から標本を取り、また死体は二次感染などを防ぐために丁寧に埋葬しました(写真1)。まだ死因の結果は出ておりません。

写真1.死体で見つかったゴリラのコドモ(左側)とその標本採集(中央)と死体埋葬(右側)を行なうWCSコンゴ共和国獣医チーム・リーダー©WCS Congo

クリック募金からの寄付でプリンターを購入

前回の報告書で紹介した新しい発電機により、モンディカ・キャンプでの仕事に必要なエネルギーは確保されました。これにともない、OA機器で不足していたプリンターを、クリック募金からのご寄付により、8月小型発電機を購入させていただきました(写真2)。これにより、たとえば、以前は手書きで作成していたトラッカー用の出欠表を、印刷した用紙にて管理することが可能になり、モンディカ・プロジェクトを遂行するのに必要な彼らの給与計算などの事務作業がスムーズにできるようになりました。

写真2:新たに購入されたモンディカ・キャンプ用のプリンター©WCS Congo

写真2:新たに購入されたモンディカ・キャンプ用のプリンター©WCS Congo

日本での普及事業

8月後半にはWCSコンゴ共和国副局長を務めるジェローム・モココ氏が西原と共に国際鳥類学会に出席するため来日しました。モココ氏は鳥類の専門家であるだけでなくコンゴ共和国の国立公園制定・野生生物保全の第一人者であるため、特定非営利法人アフリカ日本協議会の主催するセミナーにも招待され、コンゴ共和国の森や野生動物の豊かさとその直面する危機について、日本人一般参加者の前で講演されました(写真3)。ゴリラに関してもその生息密度の高さを強調する一方、その生息域である熱帯林が伐採など開発業によって脅かされている現状を報告しました。また、聴衆に是非ともコンゴ共和国を訪れて、素晴らしい自然や野生生物を目の当たりにしてほしいというメッセージを伝えました。

写真3:日本で開催されたセミナーで講演するジェローム・モココ氏(左側)と西原(右側)©西原恵美子

写真3:日本で開催されたセミナーで講演するジェローム・モココ氏(左側)と西原(右側)©西原恵美子

ツーリズムに関する会議を開催

10月前半には、南アを拠点とする"Eco Imagination"という組織をヌアバレ-ンドキ国立公園のWCS基地に招き、モンディカを含むヌアバレーンドキ国立公園のツーリズムの評価と今後のビジョンについて議論する機会を得ました。西原がそのコーディネートの一部を担ったその会合では、コンゴ共和国のヌアバレーンドキ国立公園を代表するメンバーだけでなく、3国のTNS(Tri-National Sangha)世界遺産地域を形成するザンガ地域(中央アフリカ共和国)とロベケ国立公園(カメルーン)の代表者も集まりました(写真4)。会合ではおもに、現在3国が直面しているツーリズムの発展を拒んでいる諸課題について討論されました。それに基づき、"Eco Imagination"のメンバーは報告書を作成、近々、コンゴ共和国森林省大臣・ツーリズム大臣などと折衝を実施する予定です。

写真3:10月13日ヌアバレ-ンドキ国立公園のWCS基地ボマサにて実施されたツーリズムに関する会議の模様©西原智昭

写真4:10月13日ヌアバレ-ンドキ国立公園のWCS基地ボマサにて実施されたツーリズムに関する会議の模様©西原智昭

動物分布調査が終了

これまでのレポートでご報告した、サンガ川の西地域にて、西原のコーディネートによる動物分布調査は続けられ10月初旬に完了いたしました。現在、データの整理・分析中で、成果の一部は12月末までには出そろう予定です。今回のレポートの期間も、この動物センサス・プロジェクトの経費の一部(担当者のコンゴ国内出張など)を、クリック募金から活用させていただきました。
このようにクリック募金は、モンディカだけでなく、地球上最大のゴリラの頭数を誇るコンゴ共和国北部全体の野生のニシローランドゴリラの保全・研究活動、ツーリズムの進展に大きく貢献し続けていきます。今後とも、ご支援をよろしくお願いいたします。