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CSR活動

「WCSコンゴ」活動レポート(2015年4月1日~6月30日)コンゴ共和国プロジェクト

西原智昭 2015年7月

クリック募金による寄付は、2015年4月から2015年6月までの期間では、引き続き、ゴリラの保全、調査、エコツーリズムを実施しているコンゴ共和国・モンディカの森での活動費の一部に活用させていただきました。

モンディカ地域でのパトロール活動

モンディカの森では、これまでと同様、コンゴ人マネージャーのもと、キンゴ・グループとブカ・グループの追跡を継続しています。現在も引き続き、2人のコンゴ人研究アシスタントが常駐しており、交代制で、二つのゴリラのグループに関する食性、個体間の社会行動、遊動域に関する調査を実施しております。
一方、モンディカの調査域から遠くない場所で、これまで密猟の痕跡などが見つかっていましたが、モンディカ・キャンプに常駐するパトロール隊を強化(写真1)し、この報告書の期間では、密猟者の徹底的な排除に成功しています。この状況を今後も継続しなければなりません。

写真1:モンディカ・キャンプ地でのパトロール隊の一人(左)と二人の研究アシスタント(中央と右)©Bayanga Obecky

写真1:モンディカ・キャンプ地でのパトロール隊の一人(左)と二人の研究アシスタント(中央と右)©Bayanga Obecky

最近のゴリラの動向

人付けされているゴリラ・グループの一つである「キンゴ・グループ」で、2015年4月15日に新生児が誕生しました。名は、研究アシスタントを務めているコンゴ人の名にちなみ、「スティヴィ」と命名されました。これで、キンゴ・グループは総勢14頭になりました。
一方、キンゴ・グループはこの報告の期間、沼地に通う頻度が高く、そこで、Hydrocharisと呼ばれる水草の根と茎を盛んに食べていました(写真2)。これは、すでに筆者の過去の研究でも明らかになったことですが、この植物には塩分などミネラル成分などの栄養分が豊富なのです。

写真2:Hydrocharisと呼ばれる水草を食べるために沼地に入ったゴリラ©Bayanga Obecky

写真2:Hydrocharisと呼ばれる水草を食べるために沼地に入ったゴリラ©Bayanga Obecky

キャンプ地のインフラ整備と衛生管理

モンディカ・キャンプの中で、いくつかの建物の修繕が必要になってきました。とくに、ゴリラを毎日追う先住民の棲む家屋の傷みがひどく、その修理に現在取りかかっているところです(写真3)。モンディカはアクセスが悪いため、木材やセメントなど必要建材を運び入れるのが容易でないために、作業は遅々としたものですが、時間をかけて一つ一つ修繕を実施していく予定です。

写真3:修繕の必要な先住民ガイドの家屋©Bayanga Obecky

写真3:修繕の必要な先住民ガイドの家屋©Bayanga Obecky

さらに、キャンプ地での衛生管理の改善の重要課題です。モンディカ・キャンプには、研究者だけでなく、ゴリラを追跡する先住民のガイド、コックなどのキャンプ管理者、ツーリスト、パトロール隊など様々な人が出入り・生活をしています。キャンプやこうしたスタッフが不衛生な状態で生活をしていれば、病気に感染する可能性はあり、その病原菌がゴリラに感染する可能性を高めます。特に、「ブカ・グループ」はキャンプ地を直接通過することがある(写真4)ため、危険です。そこで、最低限のゴミ管理と処理だけでなく、日頃から手を洗う習慣を徹底させています。森に入りゴリラを追跡する前と後、トイレの後、食事の前など、すべての住人が利用できるような簡易水道設備を作っています(写真5)。

写真4:モンディカ・キャンプ地を通過するブカ・グループの個体©Bayanga Obecky

写真4:モンディカ・キャンプ地を通過するブカ・グループの個体©Bayanga Obecky

写真5:モンディカ・キャンプ地での簡易手洗い装置©Bayanga Obecky

写真5:モンディカ・キャンプ地での簡易手洗い装置©Bayanga Obecky

悲しいニュース

写真7:デニ・モイェケレ氏©Bayanga Obecky写真7:デニ・モイェケレ氏
©Bayanga Obecky

これまでモンディカ・プロジェクトで長年貢献していただいた先住民ガイドのひとりであるデニ・モイェケレさん(写真7)が、2015年6月26日、老衰のため亡くなりました。彼は、モンディカ・プロジェクトの創成期(1990年後半)からガイドを務めていただき、森に関する知識も豊富な方でした。彼に続く、若い世代の先住民ガイドも、彼からゴリラの追跡の仕方や森に関する知識や技能を学び、これまでそうした先住民の多くがモンディカで仕事をしてきました。彼の死はプロジェクトにとってもたいへん大きな損失ですが、彼の意志と知識を次いで、それを無駄にせずに、今後ともモンディカ・プロジェクトの発展に尽力していく次第です。

このようにクリック募金は、モンディカだけでなく、地球上最大のゴリラの頭数を誇るコンゴ共和国北部全体の野生のニシローランドゴリラの保全・研究活動、ツーリズムの進展に大きく貢献し続けていきます。今後とも、ご支援をよろしくお願いいたします。