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CSR活動

「WCSコンゴ」活動レポート(2015年7月1日~9月30日)コンゴ共和国プロジェクト

西原智昭 2015年10月

クリック募金による寄付は、2015年7月から2015年9月までの期間では、引き続き、ゴリラの保全、調査、エコツーリズムを実施しているコンゴ共和国・モンディカの森での活動費の一部に活用させていただきました。

最近のモンディカにおけるゴリラの動向

人付けされているゴリラ・グループの一つである「ブカ・グループ」で、今年生まれたゴリラは、数年来この地域での活動に対し助成を受けているエネオスにちなみ、「エネオス」と命名されました。これで、キンゴ・グループは総勢7頭になりました(写真1)。

写真1:新生児「エネオス」を抱くその母親「エミリ」

またこの期間中、キンゴ・グループとブカ・グループは、合計でそれぞれ、376時間、373時間、追跡が行われました。そのデータに基づくと、両グループの遊動範囲は、それぞれ20km2、15km2でした(図1)。この図から明らかなように、両方のグループの遊動域には重なる部分が大きいのがわかります。

図1:キンゴ・グループ(左図の濃い緑色の部分))とブカ・グループ(右図の濃い青色の部分)の遊動域を示す

さらに、この調査期間中に、植物を研究するコンゴ人がモンディカに入り、キンゴ・グループの遊動域の中の20か所で、植物調査を行ないました(図2)。詳細な結果はまだ分析中ですが、この調査は、ゴリラの棲む森にどのような植物の種類があるのかを詳細に明らかにするものです。

図2:左の図に示された赤枠の地域の20か所(右)において植物調査が実施された

感染症防止のための努力

写真2:グアルゴ調査地からモンディカ調査地を訪れ、モンディカの研究者(左)に、直接観察を通じたゴリラの健康チェック調査方法を説明するクリケット・サンズ博士。

ゴリラと人間は近接種であるため、お互い感染症を移す危険性が常にあります。とくにモンディカのような地域では、研究目的、あるいはツーリズムのための、ゴリラと人間の距離が近くなることがあるため、十全な留意が必要となります。それをさらに強化するために、9月中旬より、以下に挙げる事項を実施しています。

  • モンディカ・スタッフに対して、キャンプでの衛生管理についての教育普及を強化する(手洗いの履行、トイレを清潔に使用、ごみの処理など)
  • 常備薬のストックを充実させる
  • それぞれの病に対応する処方を正確に理解するための覚書を作る
  • スタッフ全員に3カ月に一回虫下しの薬を処方する
  • 一カ月交代のゴリラの先住民ガイドに対する予防接種を計画的に実行する
  • これまでヌアバレ-ンドキ国立公園の他の調査域(グアルゴ)にて適用されてきた、直接観察を通じたゴリラの健康チェックの調査を定期的に実施する(写真2)

キャンプの修繕

この期間中、課題であったキャンプの修繕を実行しました。ひとつは、先住民ガイドが寝泊まりする家屋の外側の金網の修理、第二に、二つの新たなトイレの設置、そしてモンディカ川を渡るための簡易橋の修繕です。

地球環境保全に不可欠な野生ゴリラの保全

モンディカ地域を含むヌアバレ・ンドキ国立公園とその周辺部一帯の動物密度に関する一斉調査は、来年早々開始されます。前回の5年前の調査に比べ、ゴリラ全体の頭数にどのような変化があったかが示されます。結果はその調査終了後の2016年後半に示される予定です。
ゴリラは、同じ熱帯林に生息するマルミミゾウやチンパンジーと同様、果実のなる時期には多くの種類の果実をたくさん採食します。このとき、多くの種の果実の種子が糞の中に含まれ、それが発芽し、熱帯林の植物の次の世代を形成します。ゴリラもそうした種子散布に大きく貢献する動物ですので、ゴリラという種の頭数の減少は、熱帯林生態系全体の維持に危機を招く要因の一つとなります。
熱帯林は、地球上においてもっとも二酸化炭素を窮する場所の一つであると考えられているため、熱帯林の消失は、地球温暖化をさらに加速する要因となりかねません。大事な点は、ゴリラを含めた生物多様性の喪失は、温暖化も含む地球上の環境変動に影響することです。この意味でも、野生ゴリラの保全はきわめて重要なことです。

このようにクリック募金は、モンディカだけでなく、地球上最大のゴリラの頭数を誇るコンゴ共和国北部全体の野生のニシローランドゴリラの保全・研究活動、ツーリズムの進展に大きく貢献し続けていきます。今後とも、ご支援をよろしくお願いいたします。