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CSR活動

「WCSコンゴ」活動レポート(2016年1月1日~3月31日)コンゴ共和国プロジェクト

西原智昭 2016年4月

クリック募金による寄付は、2016年1月から2016年3月までの期間では、引き続き、ゴリラの保全、調査、エコツーリズムを実施しているコンゴ共和国・モンディカの森での活動費の一部に活用させていただきました。

最近のモンディカにおけるゴリラの動向

これまで通り、モンディカの研究者は、キンゴ・グループとブカ・グループを毎日追跡して資料を収集することに尽力を注いでいます。この3カ月間の間で、両グループとも頭数の変化はなく、それぞれ13頭、8頭です。

またこの期間の2つのグループの遊動域は、これまでとほぼ同じで、キンゴ・グループの領域の方がブカのそれよりも大きく、遊動域のオーバーラップはあるもののその領域は少ないもので、実際両グループが近距離で遭遇したにはこの3ヶ月間で1度だけでした。このことは、それぞれのグループのコアの利用域は基本的に離れたことであることを示しています(図の赤い部分)。キンゴ・グループは混生林を主に利用するのに対し、ブカ・グループはモンディカ川の近くを遊動することが多く(図の下方)、湿性林の食物を利用することが多いです。キンゴ・グループも湿性林を利用しますが、むしろ離れたンドキ川流域を頻繁に利用します(図の上方)。こうした精細な遊動域の分析はこれまでされてきませんでしたが、2016年から、同じンドキの別のゴリラ・チンパンジーの調査域「グアルグ」の研究者David Morgan氏が分析をサポート、こうした分析が可能になりました。

図:キンゴ・グループの遊動域(緑色)とブカ・グループの遊動域(青色)・黄色から赤色になるつれ利用頻度が高いことを示す©WCS Congo

この季節は大乾季に相当し、森の中では果実の量が減少する季節でした。例年と同じく、この時期ゴリラは、小木の葉や地上性草本類、シロアリなどを中心に菜食していました。またこの期間、グアルグの森のガイドであるBaka族の先住民がモンディカ調査地を訪問し、モンディカの森のガイドであるAka族の先住民といっしょに調査に参加しました。その過程で、異なる言語をもつBaka族とAka族の植物名の違いを検討しましたが、90%以上の植物で命名が同じであることが判明しました(写真1)。

写真1:植物の名前を比較するBaka族の先住民Samedie(左)とAka族の先住民Dona Mendonga(右)©WCS Congo

ゴリラの健康状態の査察

これまでゴリラの健康状態をシステマティックに査察してきたグアルグ・チームの協力を得て、モンディカでも同じ手法で査察を本格的に開始いたしました。これはゴリラの健康状態に関する正確で信用のおけるデータを収集し、また季節による変化やエボラなどの伝染病の存在をいち早く感知するのに有効です。

これと並行し、モンディカのスタッフ(森のガイド、研究者、コックなどキャンプ・スタッフ)に対しての健康診断を実施しました。とくに、ゴリラに伝染しやすい結核の診断です。幸いなことに、すべてのスタッフで陰性であることがわかりました。

モンディカ・プロジェクトの新主任の赴任

前回の報告書でもすでにお知らせしたように、これまで3年にわたりモンディカ・プロジェクトの主任を担ってきたObecky Bayanga氏がモンディカを2月に去りました。交代の新主任であるイギリス国籍のMr. Peter Tomlinが3月に赴任、 プロジェクトを引き継ぐと同時に、2012年よりObecky氏などが中心にして収集してきた2つのゴリラのグループの遊動行に関するデータをさらに分析していくことになります。これは野生ニシゴリラの他の調査地では得られていない貴重なデータでありますので、その詳細な分析結果が期待されるところです。

Tomlin氏の到着に合わせて、モンディカ・キャンプのインフラ整備も進もうとしています。修復が必要なのは、研究者やキャンプ・スタッフの家屋と台所、食料や装備の倉庫です。さらに、森のガイドの住む家屋の増築も必要になってきます。これは、キンゴ、ブカに次ぐ第三のゴリラのグループの人付け作業が間もなく開始されるため、常駐する森のガイドの数が多くなるためです。まず、森のガイドの家屋の増築は3月後半から着手されています。

エネオスのクリック募金で購入された森歩き用のサンダルTevaも、森のガイドに配布されて、利用されています。また、新たに水筒も配布されました(写真2)。

写真2:新たに配布された水筒を持つモンディカのトラッカーたち©WCS Congo

今後のツーリズムの発展へ向けた新たな戦略

ツーリズムをさらに進行させていくために、キンゴ、ブカに次ぐ第三のゴリラのグループの人付け作業が開始されていきます。これに備えて、新たに二人のコンゴ人研究アシスタントがすでに配置されました。このグループもキャンプ近くを遊動しており、2月24日に観察がなされています。またキンゴ・グループとも近距離で遭遇しています。

これと並行しながら、ツーリズムにおける新たなガイドラインを現在作成中です。これには、すでに発行されているIUCN (International Union for the Conservation of Nature)によって確立されたこれまでベストとされているガイドラインを盛り込むことにしています。

このようにクリック募金は、モンディカだけでなく、地球上最大のゴリラの頭数を誇るコンゴ共和国北部全体の野生のニシローランドゴリラの保全・研究活動、ツーリズムの進展に大きく貢献し続けていきます。今後とも、ご支援をよろしくお願いいたします。