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CSR活動

「WCSコンゴ」活動レポート(2016年7月1日~9月30日)コンゴ共和国プロジェクト

西原智昭 2016年10月

クリック募金による寄付は、2016年7月から2016年9月までの期間では、引き続き、ゴリラの保全、調査、エコツーリズムを実施しているコンゴ共和国・モンディカの森での活動費の一部に活用させていただきました。とくに、この期間中に、新たなゴリラのデータ収集に関する手法のトレーニングなどを実施したほか、新たな建造物が完成しました。

モンディカにおけるゴリラの動向

これまで通り、モンディカの研究者は、キンゴ・グループとブカ・グループを追跡して資料を収集することに尽力を注いでいます。この3カ月間の間、キンゴ・グループは62日412時間、ブカ・グループは61日430時間の観察をそれぞれ行いました。

両グループとも頭数は一頭ずつ少なくなり、それぞれ12頭、7頭になりました。キンゴ・グループではオトナメス一頭が他のグループへ移動しました。9月1日頃のことでした。このオトナメスは1997年の人付け以来キンゴ・グループに19年滞在したことになります。ブカ・グループでは、7月29日に近隣の他のゴリラのグループからの攻撃を受け、一頭のコドモゴリラが右腕を噛まれるという事件が起こりました(写真1)。8月2日にWCSの獣医のもと、腕の怪我の化膿などを防ぐ手立てはしましたが、8月4日には残念ながらこの個体は死亡しました。

写真1:右腕を噛まれたブカグループのコドモゴリラ©WCS Congo

この期間の2つのグループの遊動域は、これまでとほぼ同じで、キンゴ・グループの領域の方がブカのそれよりも大きく、遊動域のオーバーラップはほとんど見られませんでした(図1)。図1では月ごとのそれぞれのグループの遊動域が変わっていくことが示されています。キンゴ・グループの遊動域に関してはこれまでと大きな変化はありませんでした。ブカ・グループは8月に一時的に遊動域を東側に大幅に広げました。これは、近隣の他のグループからの攻撃を受けて、一時的にもとの遊動域から回避したためであると考えています。

図1:キンゴ・グループの遊動域(水色:7月、薄水色:8月、薄緑色:9月)とブカ・グループの遊動域(橙色:7月、薄紅色:8月、薄黄色:9月)©WCS Congo

データ収集のための新規手法とソフトウェア

前回のレポートでも報告したように、各個体の行動を系統的にデータ収集していくことができるソフトウェアを適用し、それもiPad上でデータ入力するように移行しました。そして今期はコンゴ人の研究者には、この手法を習得するためのトレーニングが実施されました。

モンディカ地域における密猟

8月29日に、キンゴ・グループの遊動域内で、自動小銃の銃声が聞かれました。翌日駆け付けたパトロール隊は、モンディカ・キャンプから2.5kmほどの距離の森の中で密猟者と遭遇しました。密猟者は逃げましたが、密猟者のキャンプから、350個ほどの自動小銃の銃弾、7つの銃弾装填具、二組の象牙、サル類とニシキヘビのブッシュミートなどが押収されました(写真2)。明らかに密猟者はこの地域で、象牙目的のゾウを密猟したわけです。また9月21日には、ブカ・グループの遊動域内で、2カ月ほど前の密猟者の通過した痕跡が発見されました。

写真2:密猟者から押収したものを前にしたパトロールチーム©WCS Congo

こうした事態にすぐ対応できるように、WCSでは“Delorme”というシステムを立ち上げました。衛星を介してのデータ送信が可能なGPS機器を使用することにより、それをもつ研究者がただちにパトロールチームに密猟に関する情報を、正確な位置情報を含めてオンタイムに送ることが可能になりました。

モンディカ・キャンプで完成した建造物

前回の報告書でも述べたように、修繕と拡大の必要であった先住民ガイドの住居用小屋が新たに完成されました(写真3)。現在、キンゴ、ブカに続く第三のグループの人付作業を開始するためのさらなる人数の先住民ガイドを配置しているところです。

写真3:モンディカ・キャンプ地における先住民ガイド用の新しい建造物©WCS Congo

このようにクリック募金は、モンディカだけでなく、地球上最大のゴリラの頭数を誇るコンゴ共和国北部全体の野生のニシローランドゴリラの保全・研究活動、ツーリズムの進展に大きく貢献し続けていきます。今後とも、ご支援をよろしくお願いいたします。