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このページは、目次の中の第2編の中の第2章の中の第6節 電気絶縁油のページです。

  1. 電気絶縁油の用途と種類
  2. 変圧器油、遮断器油
  3. ケーブル油
  4. コンデンサー油

1. 電気絶縁油の用途と種類

電気絶縁油は変圧器、ケーブル、コンデンサーなど電気機器の絶縁および冷却の役割を果たすもので、古くから多量に使用されており、絶縁材料としては重要なものの一つである。最近の油入電気機器は大容量、高電圧、高性能のものが多くなったため、電気特性はもちろん物理的・化学的特性に優れていることが要求される。絶縁油の品質は、JIS C 2320-2010で規定されており、使用実態から1種の鉱油のほかにアルキルベンゼン(2種)、ポリブテン(3種)、アルキルナフタレン(4種)、アルキルジフェニルアルカン(5種)、シリコーン油(6種)、鉱油・アルキルベンゼン(7種)に分類されている。

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2. 変圧器油、遮断器油

変圧器は最も大量に絶縁油を使用する電力用機器で、小さいものでは柱上変圧器から、大きいものだと超々高圧大容量変圧器まで鉱油系絶縁油が一般に使われている。

大容量変圧器は、隔膜式により大気と遮断されているために油は酸化劣化しにくく、熱安定性や電気特性が重視される。また、冷却のため絶縁油が強制的に循環されることから変圧器内部で流動帯電現象が生じる恐れがあり、流動帯電抑制剤としてベンゾトリアゾールが添加されることが多い。一方、小型変圧器は、大気と接触する開放形が多いことから、良好な酸化安定性が求められる。絶縁油全般について言えるが、絶縁破壊電圧などの電気特性は、大気中の水分や夾雑物などにより低下するため、取扱いには細心の注意を要する。

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3. ケーブル油

油入電力ケーブルに使用される絶縁油であり、主にアルキルベンゼン(分岐鎖形、直鎖形)が使用されている。ケーブル油は、分解ガスを発生する放電が起きにくいことおよび発生したガスを吸収しやすいことが重要であり、また電気特性や各種安定性も優れていることが要求される。

なお、JIS規格ではアルキルベンゼンのアルキル基の種類により、分岐鎖形と直鎖形に分けられているが、近年国内では生分解性に劣る分岐鎖形のアルキルベンゼンが生産されなくなったため、直鎖形が主流となっている。

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4. コンデンサー油

電力用コンデンサーなどに使用される絶縁油である。電力用コンデンサーは、複数枚の薄葉誘電体(絶縁紙、ポリプロピレンフィルムなど)とアルミ箔電極との組み合わせ、またはアルミニウムを蒸着した薄葉誘電体を反物状に巻き上げたものを複数個、鉄製容器に収納しコンデンサー油を含浸する構造となっている。電力用コンデンサーの電力損失低減、小形軽量化、信頼性向上などの高性能化に伴い、絶縁油にはアルキルジフェニルアルカンなどの合成油が主に使用されている。コンデンサー油は、ガス吸収性、電気特性、安定性の優れていることが要求される。



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