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このページは、目次の中の第2編の中の第3章の中の第1節 石油系溶剤のページです。

  1. 種類
  2. 性質と用途
  3. 石油系溶剤の取扱い

1. 種類

石油系溶剤は表 2-3-1-1 に記すように、工業用ガソリンとしてJIS K 2201に規定されており、1号から5号までの種類に分類されている。一般には、初留温度150℃を境として1~3号を工業用ガソリン、4~5号をソルベントと称している。

表 2-3-1-1 工業ガソリンの種類と性状(JIS K 2201-1991から抜粋)
種類 1号
(ベンジン)
2号
(ゴム揮発油)
3号
(大豆揮発油)
4号
(ミネラルスピリット)
5号
(クリーニングソルベント)
主な用途 洗浄用 ゴム用溶剤、塗料用 抽出用 塗料用 ドライクリーニング用、
塗料用
反応 中性 中性 中性 中性 中性
引火点(℃) 30以上 38以上
蒸留
性状
初留温度(℃) 30以上 80以上 60以上 150以上
50%留出温度(℃) 100以下 120以下 180以下 180以下
終点(℃) 150以下 160以下 90以下 205以下 210以下
銅板腐食(50℃、3h) 1以下 1以下 1以下 1以下 1以下

注記:( )内は、通称を参考として示したものである

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2. 性質と用途

石油系溶剤は、いずれも用途に応じた各種特性(溶解性、揮発性、引火点など)を満たすように原料の選択を行い、製造されている。以下に主な石油系溶剤の性質と用途を記す。

ベンジン

ベンジンは沸点150℃以下の比較的軽質の溶剤で、しみ抜き、精密機械の洗浄などに使用される。沸点40~150℃で、カイロ用燃料として用いられるものもある。

ゴム揮発油

用途のほとんどがゴムのり用で、自動車タイヤの製造用が特に多く、一部インク、塗料用にも用いられている。一般には、沸点80~140℃で、ゴム溶解性の面から低アニリン点であることが要求される。

抽出揮発油

大豆、さなぎなどの動植物油脂の抽出、除虫菊、香料などの抽出用に使用されていたが、ノルマルパラフィン等に代替されて需要量は減少している。

試薬用溶剤

石油エーテル、ベンジン、リグロインがある。しみ抜き用、試験研究用、特殊工業用溶剤として使用されている。

塗料用溶剤

ペンキ、ワニスなどの希釈溶剤としては、一般的に沸点150~200℃、アニリン点40℃前後のミネラルスピリットが代表的なものである。

ドライクリーニング用溶剤

合成繊維、合成樹脂系ボタンなどに変化を与えず、羊毛生地に潤いを出し、適度の脱脂溶解性をもつことが必要である。沸点150~210℃で、人体に対して毒性、不快臭がなく、適度の乾燥性をもち、引火点40℃以上などの性能が一般に要求される。

機械洗浄用溶剤

ベンジン、ホワイトガソリン、ミネラルスピリット、灯油など非常に多くの種類のものが使用されている。ベンジンなどの工業用揮発油は乾燥性に優れているが、引火点が低いという欠点がある。

塩素系溶剤の代替として、灯油留分の沸点を狭くしたもので、かつ特別の精製処理により、芳香族分を1%以下にしたものなどが市販されている。

機械洗浄用溶剤の使用に際しては、引火性、溶解性、乾燥性および洗浄する機械類の部品に使用されている有機材質への影響を考慮して、溶剤を選択する必要がある。

印刷インキ用溶剤

インキ原料の顔料、樹脂などの溶剤として用いられる。軽油留分の沸点範囲を狭くしたものは、主にオフセットインキに使用されるが、精製度を高めて芳香族分を1%以下にしたものが主流になっている。また、潤滑留分で多環芳香族分を低減させたものは、主に新聞インキに使用される。

殺虫剤用溶剤

防疫用殺虫剤、家庭用殺虫剤などの用途により沸点範囲、成分など要求性能が異なるが、臭気が少なく貯蔵中に変色せず、薬剤の溶解性、噴霧性のよいことが要求される。

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3. 石油系溶剤の取扱い

石油系溶剤の多くは、ガソリン、灯油、軽油などの留分から製造されているため、特に火気に注意する必要がある。また、安全衛生の面から、取扱者の健康障害を予防するために、労働安全衛生法の適用を受ける。



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