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このページは、目次の中の第2編の中の第3章の中の第3節 グリースのページです。

  1. グリース潤滑の特徴
  2. グリースの組成
  3. グリースの硬さによる分類
  4. グリースの種類とその特徴

1. グリース潤滑の特徴

グリースとは、潤滑油を増稠(ぞうちょう)剤で固めた半固体状の潤滑剤である。

グリース潤滑は油潤滑と比べて、以下のような利点がある。

  1. 漏れおよび飛散が少なく、長期間無補給で潤滑可能
  2. グリースがシールの役割を果たし、潤滑部分のシール構造を簡単に出来る
  3. 給油困難な箇所や、給油回数の多いところに有利
  4. 低速・高荷重でも良好な潤滑性
  5. 長期間、潤滑部分に位置し、さびを防止する

また、グリース潤滑の欠点としては次の点がある。

  1. 給油、交換の取扱いが困難
  2. 水、ゴミが混入したとき除去が困難
  3. 高速回転には向かない

近年ではこれらの特徴(長期間潤滑可能、シール構造が簡単で良い)を生かして、従来、油潤滑していた箇所をグリース潤滑に変更することにより、部品の小型化、メンテナンスフリー化を図る例もある。

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2. グリースの組成

グリースは基油、増稠剤、添加剤の三つの要素で構成されている。

基油

グリース中の基油の割合は多く、80~95%程度である。一般グリースには鉱油が用いられ、高温性能、低温性能、長寿命など鉱油では対応できない性能が要求される場合には、合成油が用いられる。

増稠剤

グリース中で基油を保持し、半固体状の性質を与える。増稠剤は、石けん系と非石けん系に大別される。

(1)石けん系増稠剤

最も広く使用されている増稠剤で、リチウム、カルシウムなどの金属脂肪酸塩(石けん)が用いられる。

(2)非石けん系増稠剤

ベントン、シリカゲルやウレア化合物が使用される。これらは耐熱グリースによく用いられる。

添加剤

基油の性能を高めるために使用される。潤滑油とほぼ同じ添加剤(酸化防止剤、極圧添加剤、さび止め剤)等が使われる。グリース特有の添加剤として固体潤滑剤も使用される(油では沈殿するが、グリースは半固体状なので、分散して使用される)。

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3. グリースの硬さによる分類

潤滑油の流動性を粘度で表すように、グリースの硬さは稠度で表す。稠度は一種の針入度で、稠度が大きいほどグリースが軟らかいことを示している(表 2-3-3-1)。一般に手塗り・ガン給油には1~3号が用いられ、集中給油には000~0号が用いられる。

表 2-3-3-1 稠度番号と稠度の関係
稠度番号 混和稠度範囲※1 状態
000号 445~475 半流動状
00号 400~430 半流動状
0号 355~385 大変軟らかい
1号 310~340 軟らかい
2号 265~295 中間
3号 220~250 やや硬い
4号 175~205 硬い
5号 130~160 大変硬い
6号 85~115 大変硬い
注記:
※1.規定の混和器で60回混和した直後の稠度

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4. グリースの種類とその特徴

グリースの種類は多種多様で、使用している増稠剤、用途及び特性により分類される。

カルシウム石けんグリース

耐水性が良好であるが、使用可能上限温度が低い特性がある。条件の厳しくない箇所の潤滑に使用される。耐水性が良い特徴を利用してシャシーグリース、コンクリートポンプ用グリースに利用されている。

リチウム石けんグリース

耐水性、耐熱性および機械的安定性に優れ、全ての性能に欠点がない特性がある。リチウム石けん系グリースは万能型グリースとして、国内はもとより全世界で最もよく使用されるグリースとなっている。

ウレア系グリース

非石けん系の代表的なグリースである。耐水性、機械的安定性、特に優れた耐熱性を有する。高温条件下で使用される鉄鋼用グリースに主に使用される。基油に合成油を使用したグリースはとくに長寿命であり、家電軸受けや自動車電装品軸受けに使用される。



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