特集2 多彩な次世代エネルギーへの挑戦

新時代を切り拓く“アジアを代表するエネルギー・素材企業”へ

社会が求めるエネルギーのニーズに敏感に対応するために

ENEOSは、原油、天然ガス、石炭、太陽光等の“一次エネルギー”を、ガソリン、灯油、都市ガス、電気といった“最終エネルギー”に変換し、社会、そして人々に安定供給する「アジアを代表するエネルギー・素材企業」として、今後も成長し続けることを目指しています。
そんな今、エネルギー業界は大きな転換期を迎えています。
世界のエネルギー需要を長年にわたって支え続けてきたのは石油ですが、近年、地球環境問題を受け、より環境負荷が少ないクリーンなエネルギーへの転換が求められるようになりました。また、1990年代から国際的に加速した電力自由化の動きで、電力会社以外の企業も電力事業に参入できるようになり、ビジネスモデルは大きく変化しています。
こうした時代の動きやニーズの変化に対応し、企業として成長し続けるために、ENEOSでは、次世代エネルギー事業に積極的に取り組んでいます。

ENEOSが手掛けるさまざまなエネルギー

次世代エネルギー事業 水素事業

製造から輸送、販売まで一貫した水素供給体制を構築

今、次世代を担うエネルギーとして最も注目を集めているものの1つが水素です。使用時にはCO2を排出しないクリーンなエネルギーであることはもちろん、燃料電池と組み合わせれば高いエネルギー効率を実現することができます。国は「水素・燃料電池戦略ロードマップ」(2014年制定、2016・2019年改定)で、“水素社会”の実現に向けた中長期の取り組み目標を示し、企業もそれに沿って燃料電池自動車(FCV)の販売や、FCVに水素を供給する「水素ステーション」の整備を進めてきました。また、2017年には日本が世界に先駆けて水素社会を実現するための「水素基本戦略」が決定され、2050年を視野に将来目指すべきビジョンと、その実現に向けた2030年までの行動計画が発表されました。
こうした流れを受け、ENEOSでは「水素ステーション」の積極的な展開を進めてきました。
現在、全国に約100カ所※1ある「水素ステーション」のうち、ENEOSは41カ所を運営しており、石油精製事業で蓄積した水素の取り扱いに関するノウハウを活用しながら、水素を安定してお客様へお届けすべく努めています。2016年には横浜市に「水素製造出荷センター」を設置し、首都圏における水素供給体制を確立しました。水素の製造から輸送、販売まで、一貫したサプライチェーンを組めることは、水素事業におけるENEOS最大の強みです。

水素供給サプライチェーン

FCVへの水素充填を模擬体験できるコーナーも。

また、ENEOSは、水素の普及啓発活動にも力を入れています。2017年、横浜市の「Tsunashima サスティナブル・スマートタウン※2」内に、横浜綱島水素ステーションと、これに併設する形でショールーム「スイソテラス」をオープンしました。
こうした取り組みを通じて、CO2を排出しない究極のクリーンエネルギーである水素の可能性を国内外に発信しています。

  1. ※12019年3月時点。
  2. ※2パナソニック(株)、野村不動産(株)、ENEOS等、異業種の複数事業者が協業、街全体でのエネルギーの効率的な利用等の先進的な取り組みを行い、環境配慮型のタウンマネジメント施設・集合住宅・技術開発施設・商業施設を計画する新たな街づくりプロジェクト。
水素社会の実現に向け、水素の魅力を発信
水素事業推進部 水素事業総括グループ
担当マネージャー
新妻 拓弥

「スイソテラス」は、未来の水素社会に向けた情報発信拠点として、ENEOSが展開するショールームです。
「見る」「体験する」をコンセプトに、水素の特性や当社の取り組みを紹介するシアター、水素充填の模擬体験コーナー、水素ステーションに関する模型等を展示し、水素の力を身近に感じていただけるスペースとなっています。
オープンから約2年が経ちましたが、さまざまな企業や自治体の皆さま、そして家族連れをはじめ地元の方々にも多くお越しいただき、お陰様で累計来館者数は2,500名を突破しました。
今後もENEOSでは、スイソテラスから水素社会の発展・成長にあわせた情報を発信するとともに、スマートタウンとの連携によるイベントの開催等を通じて、来るべき水素社会の在り方を皆さまとともに考えていきたいと思います。

次世代エネルギー事業 電力事業

CO2削減につながる再生可能エネルギー発電事業

沖縄県最大のうるまメガソーラー発電所。年間発電量1,460万kWhは一般
家庭約4,000世帯が一年に消費する電力に相当。

2012年度から始まった再生可能エネルギー固定価格買取制度を踏まえ、ENEOSは、自社やENEOSグループの遊休地を活用したメガソーラー発電事業を推進しています。2013年2月に仙台メガソーラー発電所での商業運転開始を皮切りに、現在全国で18カ所でメガソーラー発電所が稼働しています。
また、バイオマス、水力、風力など、太陽光以外の再生可能エネルギーを利用した発電にも積極的に取り組んでいます。今後もこうしたクリーンなエネルギーを活用することで、ENEOSは、社会のCO2削減に貢献していきます。

次世代エネルギー事業 天然ガス事業

クリーンで供給安定性に優れた天然ガス事業の拡大を推進中

八戸LNGターミナル。LNG貯蔵容量は28万kl。

天然ガス(LNG)は燃焼時、酸性雨の原因となるSOx(硫黄酸化物)を発生せず、地球温暖化・大気汚染の原因とされるNOx(窒素酸化物)、CO2(二酸化炭素)の排出量も少ない、非常にクリーンなエネルギー資源です。また、地球における確認埋蔵量が豊富(186.6兆m3・可採年数52.5年)で、産出国も世界各地に分布していることから、供給安定性にも優れています。こうした利点から、政府も天然ガスの利用拡大を推進しています。
ENEOSでは、2000年代以降、マレーシアやパプアニューギニア等、海外の天然ガス開発プロジェクトを積極的に展開しています。国内では、2006年岡山県に水島LNG(液化天然ガス)基地(岡山県倉敷市)を設け、2007年には青森にも八戸LNG基地(青森県八戸市)を開設。その後、さらに天然ガスの需要が見込まれたことから、2015年には八戸LNG基地を大型輸入基地化して八戸LNGターミナルに拡大。北海道にも釧路LNGターミナルを建設し、天然ガスの国内供給体制を整えています。
また、2017年10月には川崎市に都市ガスの製造や供給を行う扇島都市ガス供給株式会社を他社と共同で設立し、2020年4月より首都圏への都市ガス供給事業を開始します。さらに、2019年2月には東京ガスの供給エリアにおいて家庭用都市ガスの小売り事業を開始しており、国内ガス事業の強化を進めています。

  • 資源エネルギー庁調べ。2016年末時点。