燃料研究

次世代FCC

次世代FCC(HS-FCC)プロセスの開発

HS-FCC(高過酷度流動接触分解)は、重質油を分解し、石油化学原料として付加価値の高いプロピレン、ブチレンなどのライトオレフィン類を効率良く生産するプロセスです。
ライトオレフィン類の内、プロピレンは汎用プラスチックであるポリプロピレンなどの石油化学製品の原料としてアジアを中心に需要が拡大し続けており、石油精製からの供給増加が期待されています。
本プロセスは財団法人国際石油交流センター主導のもと、サウジアラビアとの共同研究により開発が進められてきました。その後、経済産業省の支援のもとにセミ商業化装置の検討を開始し、2011年4月からは、当社水島製油所にて重質油処理量3,000B/D(プロピレン生産量140,000トン/年)のセミ商業化装置運転を完了しました。

短時間で効率良くプロピレンを生産

ダウンフロー反応器によるムダのないプロセス

図1 ダウンフロー反応器によるプロピレン生産プロセス

原料の重質油は粉末状の触媒と共にダウンフロー型の反応器に投入され、反応器中を落下する一瞬の間に反応が起こります。高温(600℃)かつ短時間(0.5秒)であることがこの反応の特徴です(図1)。
反応後の生成物は分離器により触媒から分離され、反応器から取り出されます。
一方、反応後の触媒は触媒洗浄塔を経由して触媒再生塔に送られ、反応中に付着した炭素分を除去することにより再生されます。 再生後は再び反応器に送られ反応に用いられます。
また、再生中に炭素分の燃焼により得られた熱は反応熱として利用されます。

すぐれたライトオレフィン収率

燃料油需要が頭打ちとなる中、プロピレン、ブチレンなどのライトオレフィンは石油化学の基礎原料として需要が堅調であることから、世界中のライセンサーが重質油からのライトオレフィン生産プロセスを開発しています。
そのなかでもHS-FCCは最も高いライトオレフィン収率を誇ります(表2)。
また、一般にライトオレフィンの増加にしたがってガソリン収率が減少しますが、HS-FCCではガソリン収率の低下も抑えられています。

表2 プロセス別収率

プロピレン
mass%
ブチレン
mass%
ガソリン
mass%
合計
mass%
優位性
mass%
HS-FCC 25.0 19.5 29.0 73.5 +10
プロセスA 23.0 17.3 23.1 63.4 Base
プロセスB 18.0 14.0 27.0 59.0 (-4)
プロセスC 16.7 14.6 26.6 57.9 (-6)

商業化に向けた研究

写真3 当社水島製油所内に建設された3,000B/D規模のセミ商業化装置

2003年~2005年にかけて、サウジアラビアの国営石油会社アラムコの拠点のひとつラスタヌーラ製油所において、重質油処理量30B/D(プロピレン生産量1,400トン/年)のHS-FCCの実証化装置を建設、当社の社員15名が現地に赴任して商業化に向けた実証化研究を行いました。
その知見をもとに100倍にスケールアップした重質油処理量3,000B/D(プロピレン生産量140,000トン/年)のセミ商業装置を2007年から当社水島製油所に建設し、実証化運転を2011年から2014年まで実施しました。現在は商業化に向けた検討を進めている段階です。

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