潤滑油研究

自動車用省燃費駆動系潤滑油

自動車用省燃費駆動系潤滑油

自動車の燃費向上技術というと、エンジンの性能や車体の軽量化、空力特性などに注目が集まりますが、縁の下の力持ちともいうべき、変速機(AT:Automatic TransmissionやCVT:Continuously Variable Transmissionなど)に代表される駆動系の高効率化も燃費向上に大きく貢献します。変速機では新機構や新技術が導入され、年々、効率が高まってきていますが、こうした新機構ではそれに適した潤滑油と組み合わされてはじめてその機能を発揮できます。そのため省燃費駆動系潤滑油の必要性がますます高まっています。
変速機は多くの回転部品から構成されており、中に充填される潤滑油の粘性抵抗を小さくする(サラサラにする)ことでも変速機の効率が高まり、自動車の燃費向上につながります。粘性抵抗の低減は低粘度化で達成されますが、単純な低粘度化は高温での粘性が小さくなり、変速機の耐久性を落とすことにもなりかねませんので、省燃費化を図った低粘度潤滑油は新たな技術を投入して設計されています。

AT及びCVTの構造とフルードの働き

ATは図1に示すように、トルクコンバーター、湿式多板クラッチ(変速クラッチ)、プラネタリーギヤユニット、コントロールユニット(油圧制御装置)などの機構より構成されます。トルクコンバーターはエンジンからの出力を変速機構へ伝達し、増幅する装置です。湿式多板クラッチは油圧制御により接続及び、切断する仕組みになっており、変速比を設定するプラネタリーギヤの切替えや固定に用いられます。ATFはAT内の潤滑、冷却作用を行うだけでなく、湿式クラッチなどを作動させる油圧の働き、またクラッチが滑らないように適正な摩擦を保つ働きが必要とされます。

ATの構造とATFの働き

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CVTは図2に示すように、トルクコンバーター、金属ベルト/プーリー(プライマリーとセカンダリーの2組)、コントロールユニット(油圧制御装置)などの機構より構成されます。エンジンからの出力はトルクコンバーターを経て、プライマリープーリーに伝えられ、金属ベルトを介してセカンダリープーリーに伝えられます。CVTの変速比は、油圧制御により2つのプーリーの幅を変化させることで、連続的に制御することができます。CVTFはCVT内の潤滑、冷却作用を行うだけでなく、プーリーなどを作動させる油圧の働き、金属ベルトやトルクコンバーター内のクラッチが滑らないように適正な摩擦を保つ働きが必要とされます。

CVTの構造とCVTFの働き

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省燃費化テクノロジー「WBASE」と「FCテクノロジー」

WBASE

潤滑油の信頼性を確保した上で低粘度化を行うためには、粘度指数を向上させる必要があります。粘度指数とは温度による粘度変化を指標化したものであり、粘度指数が高いほど温度変化に対する粘度の変化度合いが小さいことを示します。粘度指数が高くなることで、高温領域での信頼性に必要な粘性を確保しつつも実用温度域の不要な粘性を低減でき、結果的に変速機内での攪拌損失を低減できるのです。
WBASEは世界最高水準の高い粘度指数と低い圧力粘度係数を有した当社独自の化学合成ベースオイルです。WBASEを配合することにより、低粘度化と高粘度指数化を実現することができます。

1.従来の化学合成ベースオイルと比べ、粘度指数を約15%向上

高速走行等の高温時に必要な粘度を確保しつつ、寒冷始動等の低温時において粘度の上昇を抑え、変速機内部のエネルギーロス(撹拌抵抗)を大幅に低減し、出力伝達性能を高めます。

2.一般的なベースオイルと比べ、圧力粘度係数を約10%低減

圧力粘度係数が低いほど、圧力変化による粘度の変化が少なくなり、高い圧力が加わっている変速機内部における粘度上昇を抑え、エネルギーロス(粘性抵抗)を大幅に低減し、出力伝達性能を高めます。

FCテクノロジー

FC(Friction Control)テクノロジーとは、摩擦(フリクション)を制御(コントロール)し、出力伝達性能を追求した当社独自の添加剤処方技術です。
潤滑油は、金属部品などの間に入り込んで油膜を作り、摩擦を減らしながら動きをスムーズにする役割を担っています。エンジンオイルの場合、低粘度化し、摩擦を低減すると燃費は向上します。一方、ATFやCVTFでは、摩擦低減によりエネルギーロスを減らすことが省燃費性能の向上につながる反面、クラッチや金属ベルト/プーリーなどで高い摩擦力を持たせないと、エンジン側の力をタイヤ側に効率よく伝えることができないという、相反する特性が要求されます。この「すべらせる(低い摩擦を保つ)性能」と「すべらせない(高い摩擦を保つ)性能」を高い次元でバランスさせ、変速機出力伝達性能を向上させる添加剤処方技術が、FCテクノロジーです。

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