潤滑油研究

リライアプレス紹介

環境配慮型プレス油

プレス加工の際に、金型や工具、材料に塗布される潤滑油がプレス油と呼ばれています(図1)。プレス油の役割は、金型や工具と材料の間の摩擦低減や焼付きを防止することです。そのために、極圧剤と呼ばれる添加剤が配合されており、これには塩素系、硫黄系およびリン系などの化合物があります(図2)。プレス油では、焼付き防止性能に非常に優れる塩素化パラフィンに代表される塩素系極圧剤が古くから使用されていました。しかし、一部の塩素化パラフィンは、国際ガン研究機関において発がん性の懸念がある物質に分類されました。さらに、焼却処理時にダイオキシンを発生する恐れがあることも報告されています。そのため、塩素系極圧剤を使用しない非塩素系プレス油の需要が高まり、硫黄系やリン系の極圧剤を使用したプレス油への切替えが進んでいます。

図1 プレス加工例:絞り加工
図2 代表的な極圧剤

当社は、1990年代から非塩素系プレス油「ユニプレステラミシリーズ」を展開してきました。さらに硫黄系極圧剤を中心に改良を加え、加工性能を更に向上させました「リライアプレスシリーズ」を開発し、2017年から販売を開始しました。このリライアプレスシリーズでは、低粘度化によりハンドリング性を向上させたグレードも新たにラインアップしました(表1)。一般的なプレス加工にはリライアプレスRA、RBシリーズを、非常に厳しい条件でのプレス加工にはリライアプレスRCシリーズをお勧めしております。

表1 リライアプレスシリーズ一覧

動粘度(40℃),mm2/s 硫黄量,mass% 加工難易度
RAシリーズ RA15 14 1.9
RA20 20 1.9
RA30 31 1.9
RA60 55 2.2
RA150 151 4.1
RA220 220 4.3
RBシリーズ RB50 50 11
RB90 90 11
RCシリーズ RC100 90 13.5
RC150 140 15

リライアプレスRCシリーズ

ステンレス鋼などの硬い材料(難加工材)では非常に厳しい加工条件となります。非常に厳しい加工条件にも耐えるべく開発されたプレス油がリライアプレスRCシリーズです。円形の板材(ステンレス鋼)を多段深絞り加工で成形する場合、優れたプレス油はより多く連続して成形することができます(図3)。塩素系プレス油では連続10,000個の成形が可能ですが、従来の代表的な非塩素系プレス油では1,000個に満たない数で工具が損傷し、成形できなくなりました。一方、リライアプレスRC150は連続10,000個成形しても工具損傷は発生せず、塩素系プレス油と同等レベルの性能を有します。また、従来の難加工材用プレス油は過酷な加工条件に対応するため、400mm2/s(40℃)を越える動粘度のものもありました。動粘度が高いと塗布や洗浄などの作業性やハンドリング性に劣ることが難点となります。しかし、当社は最適な添加剤を選定して配合することにより、動粘度を140mm2/sとすることに成功し、作業性やハンドリング性の問題を解決しました。加工後の洗浄し易さも優れており、リライアプレスRC150を用いて成形した部品を炭化水素系洗浄剤で洗浄した後に、熱処理を施した際にも、変色等の問題は発生しませんでした(図4)。

図3 深絞り加工の一例
図4 モノづくりの工程一例

リライアプレスシリーズは、あらゆるプレス加工に適用でき、機械、環境、そして人に優しい油です。

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