潤滑油研究

省エネルギー型油圧作動油

工業用環境配慮潤滑油

省エネルギー型油圧作動油

油圧機械の省電力化・長寿命化に寄与

写真1 「石油学会技術進歩賞」を受賞

油圧作動油はショベルカーなどの建設機械、工場の設備機械や工作機械など、各種油圧機械に広範囲に用いられています。油圧を発生させるには多量の電気エネルギーが必要ですが、1999年4月より施行された改正省エネ法により、日本の産業界は各工場事業所において、エネルギー消費単位で年平均1%ずつの低減が義務づけられました。
当社では、省エネルギー化に対して潤滑油の側面から貢献することを目的に、「省エネルギー型油圧作動油」を開発しました。この省エネルギー型油圧作動油は、高粘度指数化によるウォームアップ時間の短縮、低粘度・低摩擦化によるフリクションロスの低減、機械効率の向上を図り、油圧装置においては2~8%の省電力化を達成しました。あわせて、添加剤の非亜鉛化により従来型添加剤処方の5倍の長寿命化を実現しました。
なお、当社では、本技術に関し、「平成15年度石油学会技術進歩賞」を受賞しています(写真1)。

圧力損失の低減と起動性の向上

油圧システムでは入力されたエネルギーが、ポンプ、配管、アクチュエーターなどで損失し、実際に出力されるエネルギーは入力したエネルギーの40%程度といわれています(図2)。
当社では、作動油を低粘度化+高粘度指数化することにより配管抵抗の低減、低温起動性の向上を図り、また、作動油の摩擦特性を向上させることで、摺動抵抗の低減、機械効率の向上を実現しました。
油圧システムにおいて、配管での圧力損失は作動油の動粘度に比例します。よって、同一粘度グレードでも、粘度指数の高い作動油を使用することで低温粘度が低くなり、圧力損失は低減されることになります。また、装置の運転を開始する際には、作動油の温度を上げて運転可能な粘度まで下げるためウォームアップ運転する必要がありますが、高粘度指数のオイルは運転可能粘度に到達するまでの時間が短くて済み、ウォームアップ時間を短縮することができます。(図3)。

図2 油圧システムにおけるエネルギーの損失
図3 粘度指数の違いによるウォームアップ時間の比較

高粘度指数油は低温でも運転可能となるため、ウォームアップ時間が短縮できる。

省エネルギー作動油「スーパーハイランドSE」の開発

作動油を低粘度化+高粘度指数化するにあたって、高粘度指数の水素化分解基油を用いました。また、低摩擦化するために、添加剤として非Zn系の摩擦調整剤および極圧剤を用いています。さらにこれらを組み合わせることで、作動油の長寿命化が達成できました(図4)。
このようにして開発した省エネルギー作動油を「スーパーハイランドSE」として販売しています。実験室の摩擦係数評価結果とベーンポンプを用いた実機試験による消費電力測定結果を示します(図5)。
「スーパーハイランドSE」は摩擦係数が従来のZn系作動油や他社非Zn系作動油に比べて低く、また電力消費量もZn系作動油と比較して7%も低減していることがわかりました。
また、各種実機試験での省エネ率を示します(表6)。省エネ率はポンプ運転時の消費電力を測定することで算出しました。

図4 「スーパーハイランドSE」の開発手法
図5 摩擦係数評価と消費電力測定結果

表6 「スーパーハイランドSE」の実機試験効果

実施 ポンプ 圧力
MPa
比較油
(VG46)
SE
VG
省エネ率
当社 ベーン 4-9 Zn系 46 7
当社 ギヤ 15 非Zn系 46 5
PLP社 ギヤ 15 Zn系 46 18
TSOG社 ピストン 30 Zn系 46 13
DE社 ピストン 4.5 非Zn系 46 3
NSIK社 ベーン 3 非Zn系 32 11

機器により差はありますが、概ね3~10数%の省エネ効果が得られます。場合によっては20%近い省エネ率が得られることもあります。詳しくは製品紹介をご覧ください。

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