研究者インタビュー ENEOSの花、咲かそう!

STORY 05 レコサール

STORY 05 レコサール 開発STORY 石油業界の長年の課題への解答には、世界も注目
中央技術研究所 木原勉

愛を信じる。カーネーションの花言葉のひとつですが、石油業界の長年の課題にレコサールという製品技術で答えを出した木原さん。まさに自分たちの研究開発を「信じた」からこその成果といえるでしょう。

Introduction

石油を作る際、大量に発生する硫黄。世界の石油会社は、長年この硫黄の処理に頭を悩ませていました。レコサールは、この排出される硫黄を原材料として作られた、コンクリートの代替商品にもなる画期的な新素材。当社が石油業界で初めて形にしたこのレコサールは、各業界はもとより海外からも注目を集めています。今回は、この開発に携わった木原さんからお話を聞きました。

「排出される硫黄の処理を」で、発案

まず、レコサールとはどんな製品なのでしょうか?

当社は石油会社ですが、原油から石油を精製する際に、大量の硫黄が排出されます。レコサールとは石油を作る際に発生する硫黄の有効活用のために作られた新素材で、その名称はリサイクル(Recycle)、エコロジー(Ecology)、そしてサルファー(Sulfur=硫黄)の頭文字を取って付けました。改質した硫黄、石炭灰、ホタテ貝、鉄鋼スラグなどを混ぜて作ります。現在は、コンクリートの代替商品としての活用を考えています。

レコサール開発に至る経緯を教えてください。

「レコサールという製品を作る」ということではなく、「石油を作る際に発生する硫黄の有効活用法を探す」が研究の発端でした。その研究スタートは随分と昔で、1970年代から社内でいろいろと研究が進められてきました。ただ、なかなか「コレだ!」という解決策が見つかりませんでした。そうした中、最近のエコロジーへの意識の高まりもあり、会社としても本腰を入れて研究開発をしよう、ということになったのです。

随分と長い間研究されていたんですね。

ただ、研究が始まった当初は、私はまだ入社していませんから(笑)。それに入社してから10年余りは、別の部署でカーボンファイバーの研究開発を行っていました。レコサールの研究開発グループに参加したのはここ数年のことなんです。その頃には研究も最終段階まで来ていました。ですから、私の役目としてはなるべく低価格で性能の優れた改質剤を探し、実用品としてのレコサールの品質を高めることでした。私たちの仕事は研究開発ですが、企業内で研究をしているわけですから、利益についても考えなければなりません。レコサールという製品は生みだしたけれども、流通ラインに乗せるためにはコスト面なども考慮に入れる必要があるのです。

ファジーな部分にこそ答えがある

開発されたレコサールはどんな分野で利用されるのですか?

レコサールの特性として、耐久性と酸に強いことが挙げられます。こうしたことからまず考えられるのが、下水道の設備でコンクリートの被覆材としての使用ですね。通常のコンクリートだと酸性雰囲気下で傷んでしまうのですが、これに効果があります。また温泉関連の設備に使用したり、沿岸地域での消波ブロックとして使用したりといった活用方法を考えています。今年度からは、酸性の農業用水にも適用可能な大型水路などでの有償利用も始まっているんです。

レコサール開発までにどんな苦労がありましたか?

レコサールで、というよりも研究開発という仕事自体が、一筋縄ではいかないと思っています。例えばレコサールの改質剤にどんな材料が最適なのか、グループ全体で考えるわけですが、当たり前の考え方では誰でも思いつくような発想しか出てきません。もちろんそうしたアイディアを試すことも重要ですし、そこに答えがある場合もありますが、大切なのは他人と違うアプローチも考えることだと思います。「違うかもしれないけど…」という部分に答えがあることもあるし、そんなファジーな部分と基礎的な部分を併せ持っていることが、この仕事の苦労する点でもありやり甲斐だと思っています。

今後、レコサールをどのように発展させていきたいですか?

鉄鋼スラグなどと混合させることで、レコサールというコンクリートの代替商品となる新素材を開発することができたわけです。これは石油業界にとっても硫黄の有効活用という点で、大きな進歩だと思っています。ただ、製油所で副生する硫黄をすべて消費できるまでには至っていません。もっと大量消費できるような製品にするには、このレコサールにどのような改良を加えればいいのか。化石燃料の枯渇も話題になっていますが、そうした課題がある限り、答えを探し求めるのが研究者の役目だと思います。

レコサール

石油を作る際に排出される硫黄の有効活用法として誕生した「レコサール」。その耐久性、耐酸性から、コンクリートの代替商品として下水道の防食材や消波ブロックなどとしての活用が考えられています。

カキ殻を骨材に用いた藻礁
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改質硫黄固化体ができるまで
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