研究者インタビュー ENEOSの花、咲かそう!

STORY 07 水素製造触媒

STORY 07 水素製造触媒 開発STORY 「CO2排出ゼロ」というゴールをめざして
中央技術研究所 新妻拓弥

可憐なマーガレットには「誠実」という花言葉があります。学生時代から環境問題について考え、当社でも新エネルギーの研究と同時にCO2排出ゼロをめざす新妻さんの姿勢は、この花言葉そのものです。

Introduction

研究者であると同時に、マラソンランナーとして多くの大会にも出場している新妻さん。今回は、新妻さんが当社で担当している燃料電池の未来や環境問題に対する企業姿勢、そして研究とマラソンを両立させることの面白味について話してもらいました。

環境問題に直接行動できる、企業での研究に興味

エネルギーについて研究しようと思ったきっかけは?

大学で化学工学を学んでいたのですが、教養学部時代に受けた授業で地球温暖化や酸性雨などの問題について深く知り、環境対策が現代社会において切実な問題であると実感。そしてこれからは企業も責任をもって環境問題に取り組むべきだと思い、総合エネルギー企業である当社を選びました。研究者としての進路の可能性は大学内にも行政にもありましたが、そうした分野では直接的な行動に至らず、現状分析や提言に留まってしまうのではないかと考えたのです。企業ならもっと事業として活動できると考えたわけですが、そうした自分の選択は間違っていなかったと思っています。

どんなことを研究しているのですか?

一言で言えば、「家庭用燃料電池システム向けの水素製造触媒」の開発ですね。これはLPGや灯油などの石油系燃料から電力と熱を作り出す「コージェネレーション」と呼ばれるシステムで、現在は一般家庭でも使用されています。燃料となる水素は、化学式でHを含んでいる素材であれば作り出すことが可能です。水素を燃焼させても水と空気しか排出しない、環境面でも優れた燃料なんですね。私はこのシステムの中の水素製造触媒の開発を担当しました。商品化はされましたが、まだ改善できる点はある、と思っています。私の担当した触媒で言うならば、耐久性の向上が挙げられます。一般家庭用に供給されていることもあり、メンテナンスフリーであることが理想です。それが究極の目標だとしても、10年のスパンで性能を維持できるよう改善していきたいと思っています。そしてもちろん、より低コストで高性能な触媒作りもめざしていきたいですね。

次世代の燃料として水素は欠かせないのですね。

この家庭用燃料電池は、当社が世界で初めて商品化に成功しました。この中に自分の携わった触媒が入っていると思うと嬉しい反面、責任感やプレッシャーもあります。海外で研究発表も行いましたが、世界の人たちからも注目を集めていることを肌で感じました。ただ、石油のようなエネルギー密度の高い燃料に水素が取って代わるためには、まだまだ高いハードルがいくつもあります。また、当社では水素を石油から製造していますから、水素の効率的な開発・生産と平行して、その過程で排出されるCO2の分離回収についても真剣に考えていかなければならないと思っています。

長距離+短距離が、研究に求められる姿勢

新妻さんが研究で大切にしていることは何ですか?

企業での研究ですから、期間は区切られています。これが単純な作業なら徹夜を繰り返せば達成できるかもしれませんが、研究では斬新な思いつきのようなアイディアを出すことも求められます。そんな時のためにも、常日頃から心掛けているのが多くの人とのコミュニケーションです。会社の同僚はもちろん、学生時代の友人など様々な人から仕入れた情報が、研究の「種」になっています。その上で自分なりに考えて情報の取捨選択をしたり、考え抜いた内容をいろんな人とディスカッションしたりすることで、その「種」を「育てて」いきます。研究が個人ベースで進む大学とは異なり、企業での研究は多くの人の協力がないと進みません。当社には一緒に働きたくなるような魅力ある人材が揃っており、研究にもプラスになっていると思いますね。

その努力が花のように咲くといいですね。

そうですね。特にいま注目しているのがCO2の排出をゼロにすることです。実は学生時代の修士論文も「CO2の分離回収」でした。決して簡単な課題ではないことは分かっていますが、循環型社会実現のために考えなければならない問題だと思っています。特に当社のような総合エネルギー企業であれば、なおさらですね。もし、コストをかけずにCO2を分離回収できる技術を開発したら、ノーベル賞も夢ではない。そう思っています。

研究者であると同時にマラソンランナーでもあるんですよね。

はい。学生時代から続けています。現在も当社の陸上部にも所属し、東京マラソン2007などいくつかの大会で走っています。休日は20キロほどの距離を走りますが、平日は研究が忙しく、なかなか練習できないのが悩みの種ですね。ただ仕事以外にも何か「軸」となるものがあると、「明日は昼休みに走る時間がないから、仕事の前に走っておこう」というように、時間の使い方・作り方がしっかりとできるようになると思います。また、マラソンは持久力のスポーツですが、研究では斬新なアイディアや人がやらないことに挑戦するような「瞬発力」も求められます。私にとって研究とは、長距離をベースにしながらも短距離の練習も行うようなイメージですね。

家庭用燃料電池システム

石油から水素を製造する技術やノウハウを活かし、当社では固体高分子形燃料電池を組み込んだ家庭用燃料電池システムを世界に先駆けて商品化。この燃料電池システム内に自社開発した触媒が搭載されています。

CO2フリー水素の製造技術 Production technology of CO2-free hydrogen
CO2フリー水素の製造技術
Production technology of CO2-free hydrogen

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