研究者インタビュー ENEOSの花、咲かそう!

STORY 12 芳香族 製造触媒

STORY 12 芳香族 製造触媒 開発STORY   化学品製造に欠かせない触媒の開発で、研究成果を残したい。
中央技術研究所 青木優子

「ひとつの実験結果からより多くの考察をおこなう」そんな研究者が目標と語る青木さん。
彼女にふさわしいのは、ひとつの花束の中に多くの花々がミックスされた、こんなブーケかもしれません。

Introduction

当社では石油精製や石油化学で使用する、多くの触媒の研究・開発を行ってきました。現在では、連産品である石油製品を効率よく製造するために、需要の少ない付加価値の低い製品から、付加価値の高い製品を作る技術の開発が重要になっています。中でも芳香族炭化水素などの基礎化学品を効率良く作ることは、そのニーズが高まっていることもあり急務といえます。学生時代から触媒の研究を重ねてきた青木さんに、現在の研究の内容などについて聞いてみました。

BTXの製造技術開発で、石油原料の有効活用を

まずは触媒について、簡単に教えてください。

JXTGエネルギーは社名のとおり石油を扱う企業なのですが、そのためには原油から石油製品を作る、精製の技術が必要になります。例えば精製過程で石油から硫黄分を除去するわけですが、この脱硫という工程のためには触媒が必要です。私が携わっているのは、こうした石油精製にとって無くてはならない触媒の研究・開発です。現在は主に基礎化学品を作るための触媒づくりをテーマに研究を進めています。

具体的にはどんな基礎化学品ですか?

ベンゼン、トルエン、キシレンという通称BTXと呼ばれる芳香族炭化水素です。これを、付加価値の低い石油原料から製造するための触媒の研究・開発をしています。ここでいう付加価値の低い石油原料はこれまで製油所内の燃料などにしか使えなかったものです。そこからBTXを製造することができれば、製油所の競争力強化につながります。BTXの需要は世界各地で高まっており、早急な技術開発が求められています。しかし現状の触媒ではまだまだBTXの生産効率が低いため、実際に製油所にこの技術を導入するために、この生産効率を上げることがプロジェクトの大きな目標ですね。私は現在、このBTXの生産効率を高めるため、触媒の合成や解析、反応評価まで幅広く携わっています。

「選択と集中」で、一つの結果からより多くの考察を

なぜ触媒を担当するようになったのですか?

実は学生時代から触媒の研究をおこなっており、卒業論文のテーマにも選びました。その触媒が重要な役割を担っているのが石油関連のビジネスだと思い、就職先に当社を選んだのです。入社してからも、すぐに触媒の担当部署に配属され、現在に至っています。

学生時代と現在の研究に、何か違いはありますか?

ウーン、時間がないこと。そして寄り道ができないこと、でしょうか。企業の研究には期限があり、それまでに成果を出さなければなりません。そのため、おこなえる実験・研究も限られてきます。そうした制限の中でおこなわれた実験結果の中から、いかに多くの考察を引き出して目標達成に近づくための実験計画を立てるか、が企業の研究者に求められることだと思います。知識と経験があれば引き出しも増え、一つの結果からより多くの考察が可能です。「選択と集中」と呼んでいるのですが、まだまだ私はそれが上手くできず、苦労しています。また学生時代なら、目的と異なる、思いもしなかった実験結果が出ても、その方向を追究して論文を書くこともできましたが、企業研究では当初の目的を達成することが求められます。ただし目的から外れた結果の中にも新たな研究のアイディアもあるので、忘れないようにしていますが。

そんな青木さんの研究者としての目標は?

「私が作りました」と胸を張って言うことのできる触媒を、製油所に残したいですね。そのためにも現在取り組んでいるBTX製造プロセスの生産効率を上げ、製油所にぜひ導入したいと思っています。また、今は触媒の開発だけに携わっていますが、将来的にはそれも含めて、触媒の性能を最大限に活かすためのプロセス設計ができるようになりたい。そのためには化学工学など、もっと勉強しなければなりませんが。とは言うものの、今はまだまだ新人の立場。やっと最近、自分の言葉で意見を言えるようになれたことが嬉しいレベルですから。当社は研修制度が充実しているので、それを利用してより高いレベルをめざしていきたいと思っています。

芳香族製造技術

芳香族炭化水素は主に繊維やプラスチック等の原料として利用されており、中国を中心とするアジア各国で需要が高まっている化学品です。当社では主にヘビーナフサと呼ばれる原料を用いて製造しています。さらなる増産のために今回紹介した原料から製造することが求められています。

芳香族製造技術

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