研究者インタビュー ENEOSの花、咲かそう!

STORY 18 天然ガスの液体燃料化技術

STORY 18 GTL(天然ガスの液体燃料化技術) 開発STORY   触媒開発・プロセス開発から実証プラントの運転へ 成功をめざして業務を推進
中央技術研究所 岩間真理絵

カーネーションの花言葉のひとつが「純粋な愛情」。常に新しいことにチャレンジし、さまざまな業務に真摯に取り組む岩間さんの姿勢には、研究や技術に対する純粋な心が垣間見えます。

Introduction

GTL(Gas-to-Liquids)は、天然ガスから液体燃料を製造する技術・プロセスの総称。一次エネルギーの多様化を可能にする極めて有効な技術として注目されています。当社では「日本GTL技術研究組合」に参画し、2009年度から500バーレル/日規模の実証プラント運転を開始しています。その一翼を担うのが、岩間さんです。入社以来、このプロジェクトに携わり、幅広い研究・業務を行ってきた岩間さんに、プロジェクトや研究の内容、仕事の面白みなどについてお聞きしました。

新しいプロセスを構築するやりがいと楽しさ

GTLとは、どういうものですか?

油ガス田から得られた天然ガスを、GTLプラントで化学的に液化して、ナフサや灯油、軽油、ワックス、潤滑油といった製品にアップグレードして出荷するものです。セタン価の非常に高い軽油など石油系と同等以上の製品を製造することができ、原油に依存しない液体燃料製造プロセスとして期待されています。世界ではいくつかのGTLプロセスが商業化されていますが、日本では日本GTL技術研究組合が独自のGTLプロセス「JAPAN-GTL」の開発を進めています。当社もこの組合に参画しており、私のチームは合成ガス工程・FT合成工程・水素化精製工程というGTLの3段階のプロセスのうち、水素化精製工程の開発担当としてプロセスの構築を目指しています。

岩間さんはどのような業務を行っているのですか?

新しいプロセスを開発する際には、いきなり商業プラントを立てるのではなく、その前段階としてひとまわり小型の実証プラントを運転してプロセスの信頼性を検証します。これを実証研究と呼び、私は2009年度から運転を開始したGTL実証プラントに関する業務に携わってきました。例えば、実証プラントの運転を開始する準備段階として、シミュレーターの開発を行いました。原料の組成や運転条件などに応じてどのような生成油が得られるかを予測するものです。また、プラント運転員の方のための運転要領書も作成しました。GTL実証プラントは初めて運転する装置ですから、装置がどのような構成になっているか、それをどのように安全に立ち上げて運転していくかを運転員の方に伝える手順書が必要になるわけですが、もうひとりの研究者と手分けをして毎日勉強しながら4ヵ月で3cmほどの運転要領書を書き上げました。現在は実証プラント運転支援として、得られた製品が予測どおりの性状であるか解析を行ったり、より効率的な運転条件のアドバイスなどを行ったりしています。並行して、実験室でのバックアップ研究として触媒の改良検討なども行っています。実証プラント研究が終了した後には、海外の油ガス田近傍に商業プラントを建設して製品を出荷することを最終目標としています。これに向けて、実証プラント運転で見出された改良点を商業プラント設計へと反映させることが今後の大きな仕事となっていきます。

非常にバラエティに富んだ仕事を経験されてきたのですね。

そうですね。どれも求められるスキルがまったく違いますね。ですからハードルはとても高かったのですが、私は「とりあえずやってみよう」という風に考えるほうなので、大変でしたが、やりがいはありましたし、楽しくできました。特に触媒、プロセス、実証プラントと一連のことにトータルに関わるのはなかなかなできないことなので、貴重な経験になりましたし、今後にも活かしたいと思います。

個性の発揮が周囲にも良い影響を与える

研究者に求められるスキルについてはどのようにお考えですか?

ひとつのテーマを深掘りしていくプロフェッショナルタイプや、さまざまな分野を総合して研究を進めていくジェネラリストタイプなど、いろいろな姿勢があっていいと思います。研究はチームで進めていくケースが多いので、自分の研究について専門外の人にもきちんと伝えたり、それを吸い上げ理解したりするコミュニケーション能力は、すべての研究者に共通して必要かなとは思います。私はどちらかといえばジェネラリストをめざしたいですね。

仕事以外の楽しみにはどんなものがありますか?

大学時代にオーケストラでクラリネットをやっていました。自分で演奏するのはいまは休止中ですが、友人の演奏会にはよく出かけます。中学・高校まではバスケットボールをやっていて、ものすごく楽しかったのですが、大学入学時に、今度は感動を人に伝えられるような活動をしてみたいとオーケストラを選びました。オーケストラでは、この演奏で何を表現するか、個人個人が目標をきちんと持っていないと演奏全体の魅力がなくなってしまう。これは仕事でも同じだなと感じます。プロジェクトの目的・目標と、それを踏まえたうえで自分の個性を伸ばし発揮することで、まわりにも良い影響が及んでいく。そういうところがすごく似ていると思います。

最後に、これからJXTGエネルギーに入社する後輩たちへメッセージを。

私自身、それまで体育会系の人たちの中で生活をしていたところから、オーケストラという文化系の思考の異なる人たちと接したことで、人との付き合いのおもしろさが広がり、視野も広がったような気がします。ですので、自分の研究だけ・自分のことだけに一生懸命になるのではなく、いろいろな人の研究やプライベートに興味を持つことで、人間の幅が広がるし、知識も増えると思います。ぜひそうした姿勢で臨んでほしいですね。

JAPAN-GTLプロセス概要

GTL(Gas-to-Liquids)は天然ガスから液体燃料を製造するプロセスの総称で、原油に依存しない石油代替エネルギーとして期待されています。
JAPAN-GTLプロセスには、天然ガスの中に含まれる二酸化炭素を原料として使用できるという特徴があります。

JAPAN-GTLプロセス

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