研究者インタビュー ENEOSの花、咲かそう!

STORY 19 有機薄膜太陽電池

STORY 19 有機薄膜太陽電池 開発STORY   わからないことを解明するおもしろさを日々、実践・体験
中央技術研究所 市林 拓

意外と知られていないバラの花言葉のひとつ、「爽やか」。平成21年度入社の市林さんの第一印象は、まさに爽やか。「仕事は楽しく」をモットーに、日々前向きに新しい研究にチャレンジしています。

Introduction

持続可能な社会を構築するうえで、最重要課題ともいえる太陽光発電。すでにシリコン太陽電池が販売され、屋根の上にパネルを載せた住宅をよく見かけるようになりました。しかし製造コストがまだまだ高く、普及のネックともなっているのが現状です。これに対して、次世代の太陽電池として期待されているのが、低コストの有機材料を用いた有機系太陽電池です。市林さんは有機薄膜太陽電池の研究に携わり、実用化に向けた研究に取り組んでいます。

研究方法から考え、研究・実験し、改善を図る

有機薄膜太陽電池が注目されていますが、なぜでしょうか?

安価に量産できるタイプの太陽電池だからでしょう。現在のシリコン素材をベースにした太陽電池は高額で、住宅に取り付けると200万円くらいはかかります。この価格をもっと下げるためのひとつのアプローチとして、有機薄膜太陽電池があります。無機物であるシリコンに対して有機材料、簡単にいえばプラスチック素材をベースとする太陽電池です。太陽電池を印刷で作るようなイメージですから、大きな面積を一気に製造できコストを急激に下げられます。また、プラスチックですから非常に軽いという特徴もあります。現状では設置が難しかった用途・場所でも太陽電池が利用できるようになると思います。

市林さんはどのような研究をされていますか?

有機薄膜太陽電池の実用化に向けて、発電効率や耐久性などが大きな課題となっています。その中で私は現在、主に耐久性を伸ばすための検討を行っています。耐久性を向上させるため、材料や太陽電池の作り方をいろいろ試しています。良好な結果が得られれば良いのですが、良くなかった場合はその理由を考えて、改善をして…というのをずっと繰り返します。また、そもそもどんな耐久性試験を行わなければならないのかを考えるのも仕事のひとつです。シリコンは物理的に多くが解明されている素材ですが、一方の有機材料は物理的によくわかっていない部分が多い素材です。その為、どのような手法で正しく耐久性を評価できるか、シリコン太陽電池の耐久性試験の規格をそのまま当てはめていいのかといったことが、いま世界中で議論されています。私は、東京大学にある産学連携の研究室「ENEOSラボ」で日常的に研究を行っていますが、大学ではそうした最新の情報を入手しやすいというメリットがあります。有機材料はよくわかっていない部分が多いだけに、それを解明するのはおもしろく、それが日々のやりがいにもなっています。自分が行った耐久性試験で大きな成果が出ると達成感もありますね。

日頃、どのような気持ちで研究に取り組んでいますか?

正直なところ、研究では失敗することもすごく多いです。そうなったときに落ち込んでも仕方がない。「楽観的に楽しく研究」というのが私のモットーであり、研究者に必要なスキルだと思います。もちろん失敗したときに「なぜ?」を考えないといけません。「なぜ?」「こうしたらどうだろう?」というのを、あきらめずに考える姿勢が大切だと思いますし、日々、そうした気持ちで研究に取り組んでいます。

人の役に立ち、人を笑顔にするのが研究者の役割

学生時代に勉強以外で力を入れていたことは?

大学に入ってからはサイクリング部に所属し、けっこうはまっていました。マウンテンバイクで夏のスキー場を登って下りてまた登って、というクロスカントリーレースに参加したり、自転車にテントを積んで旅行に行ったり。通学も自転車で、毎日往復100kmを走っていました(笑)。学会でヨーロッパに行った時には、空いた時間を利用して自転車でヨーロッパを旅したこともあります。世界一周もしてみたいですね。

これからJXTGエネルギーに入社する後輩たちへメッセージを。

入社してわかったことですが、太陽電池も燃料電池も、新しい何かをするのは大変なことです。しかし、新しいものを生み出し、製品として世の中に送り出すことができる力を備えているのが当社の魅力だと思います。実際に新しいものを生み出そうと頑張っている研究者がたくさんいます。新しいことにチャレンジしたい人には、職場環境も会社もとても魅力的ですね。

最後に、研究者としての役割についてお聞かせください。

会社に入って研究することは、最終的に製品としてアウトプットできるのがメリットだと思います。で、何のためにアウトプットするかというと、人の役に立つためじゃないですか。人の役に立って、その人が笑顔になる。笑顔は快適とも言い換えられます。そういう研究をしたいですね。エネルギーは人々の生活に必要不可欠なもの。人がしなければならなかったことを機械がやってくれるようになり、世の中が便利になり、人には余裕が生まれ、文化も発展していったというのが、歴史的な流れでしょう。この先、新しい太陽電池が完成し、もっと安価にエネルギーを供給できるようになれば、世界がまた変わってくると思う。ちょっと大げさですが、そんな風に考えています。

有機薄膜太陽電池

有機半導体材料を用いて光を電気に変換するタイプの太陽電池。
低コスト・軽量・フレキシブルなどの特徴を有しており、次世代型太陽電池として期待されている。

有機薄膜太陽電池の基本構造

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