研究者インタビュー ENEOSの花、咲かそう!

STORY 20 HS-FCC(高過酷度流動接触分解)プロセス

STORY 20 HS-FCC(高過酷度流動接触分解)プロセス 開発STORY   需要が高まる石油化学原料生産プラントの商業化に向けて触媒開発を推進
中央技術研究所 大内 太

人とのコミュニケーションの中から研究のヒントを見つけたり、自らの視野を広げたりするという大内さん。ダリアの花言葉「感謝」は、そんな大内さんの周囲の人々に対する気持ちを表しているのかもしれません。

Introduction

HS-FCC(高過酷度流動接触分解)とは、重質油を分解して、プロピレンやブチレンといった付加価値の高い石油化学原料を効率的に生産するプロセスのこと。アジア圏の国々では、近年、生活レベルの向上にあわせて石油化学製品の需要が拡大しており、プラスティックの原料となるプロピレンなどの石油化学原料が必要とされています。当社では、2011年から水島製油所で能力3,000バーレル/日の実証化プラントを運転し、早期の商業化をめざしています。この研究の中で大内さんは触媒開発に取り組んでいます。

エンドユーザーにより近いプロセスでの研究に興味

HS-FCCとは、どのような研究ですか?

重質油から、プラスティックの原料となるプロピレンなどを生産するプロセスの研究です。アジア圏ではプロピレンなどの石油化学原料へのニーズが急速に高まるといった、需要構造が変化する中で、注目が集まっている研究ですね。現在は商業化の一歩手前の段階で、実証機で実証研究を行っています。生産能力は1日に3,000バーレルと、商業機の10分の1程度ですが、装置の高さは66mもあり、商業機と変わらないくらいの大きさです。

大内さんはどのような研究を行っていますか?

私は触媒の開発をメインに行っています。ラボで作った触媒をラボ装置で実際に反応させて、分析・考察し、それをもとにまた新たな触媒を作りラボ装置で試してみる。「これなら使える」となれば触媒を大量生産して実証機に入れて使う…。その繰り返しです。同じ重質油でも、分解する触媒によって、プロピレンがたくさんできる場合もあるし、ガソリンがたくさんできる場合もあります。その中で、どういった触媒を、どのように使いこなしていけば、プロピレンをたくさんできるかが焦点です。より活性の高い触媒を開発することで、プロピレンなどの石油化学原料をより効率よく、よりたくさん生産することが目標です。プラスティックは、日本では当たり前のように利用されていますが、アジア圏ではプラスティックの原料となるプロピレンが不足しています。そうした人々・国々にプロピレンを安価に提供することで、プラスティック製品の利用を広げ、生活をより豊かにすることができるのではないかと思っています。
触媒の研究は大学時代から行っていました。入社後、石油化学や太陽電池などに携わる中で、実際に製品を作る現場に近いところや大きな装置を動かすところなど、エンドユーザーにより近い研究に興味がありました。今の職場では、商業化の一歩手前のプロセス研究に配属されましたので、希望がかなったという形ですね。

研究のおもしろみは?

触媒というのは、自分は変化しないけど、まわりの反応を促進させるもの。すべて反応は触媒に由来するようなところもあり、非常に興味をそそられます。おもしろいのは、ひとつの触媒があって、そこに違うものを加えただけで、もっと活性が上がったり、違う反応が起きたりすることですね。ですから、自分が少しずつアレンジして、新しい触媒を開発できるのが、触媒研究のおもしろさ。全く反応が進行しないときもあれば、予想以上の反応が進行するときもありますが、いろいろと挑戦できる意味で触媒開発はとてもおもしろいですね。

積極的なコミュニケーションで視野を広げる

理想とする研究者像はどのようなものですか?

研究の出口をイメージできる研究者です。研究の出口とは、簡単にいえばコスト意識のこと。例えば、触媒を開発する際に1円値段が変わると、触媒を大量に利用する商業機では年間で億に近い金額となってしまいます。コストはあとで考えればいい、ではなくて、常々コストを意識しながら研究を進めています。出口をしっかり意識することで、エンドユーザーに喜ばれ、社会に研究成果を還元することもできるようになるでしょう。

仕事上で大切にしているのはどのようなことですか?

コミュニケーションをできるだけとろうと心がけています。私の場合、これまでにいくつかのグループを異動してきましたので、そうしてつながりのできた人たちと話をしたり、わからないことがあれば聞きに行ったりしていますね。その意味で当社がおもしろいのは、いろんな分野の研究者が揃っていることですね。石油精製はもちろん、石油化学、太陽電池をやっている人もいれば、フィルムなどの素材をやっている人もいる。化学・生物・電気といったさまざまな分野の研究者がすべてここに集まっているんです。そうした人々と自由にコミュニケーションがとれて話を聞いたり教え合ったりできるのは魅力ですね。実は、私はプライベートでも話し好きです。以前、友人と北海道にドライブ旅行に行った際に道内を3,000km走行しましたが、その間、友人に運転を任せて、私はずっとしゃべり続けていました(笑)。

これからJXTGエネルギーに入社する後輩たちへメッセージを。

よく学び、よく遊んでほしいと思います。いろんな人とコミュニケーションをとることで、自分の視野が広がりますし、研究もどんどん進んでいく。人と話すのが苦手な方もいるかもしれませんが、研究はチームで行うことも多いので、学んで遊ぶ中で、人とコミュニケーションできるような研究者になってほしいですね。私の場合も、いろんな人と話すなかで自分の方向を決めてきたような気がします。研究の出口をイメージすることや、エンドユーザーに近いプロセスに携わりたいということは、人との会話を通じて、明確に意識するようになったことです。人と話すことで、自分が漠然と持っていた考えをよりはっきりとした形にできるようになるのかもしれませんね。

HS-FCC(高過酷度流動接触分解)プロセス

HS-FCC(高過酷度流動接触分解)プロセスは、従来型FCCよりも効率的に石油化学原料であるプロピレンとブチレンを生産できるプロセスです。

HS-FCC(高過酷度流動接触分解)プロセス

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