研究者インタビュー ENEOSの花、咲かそう!

STORY 27 セルロース系バイオエタノール製造技術

STORY27 セルロース系バイオエタノール製造技術 開発STORY 草・木からエタノールを効率的に生産する技術の開発で実用化を推進
中央技術研究所 福田 明

「エタノールの実用化に取り組む本気度が他社とは違うと感じた」ことを理由に入社を決めた福田さん。念願かなって、日々、エタノールの研究に努めるその思いは、カラーの花言葉「情熱」に支えられています。

Introduction

二酸化炭素排出量削減の観点から注目されているバイオエタノール。現在は主にサトウキビ、トウモロコシなどの食料から生産されていますが、食料価格への影響が懸念されています。そこで当社では、食料として利用しない草や木などの主成分であるセルロースを原料としてセルロース系バイオエタノールの製造技術の開発に注力しています。この研究に携わる福田さんは主に発酵工程を担当。将来の実用化へ思いを馳せながら研究を続けています。

酵母の改良でエタノールの変換効率を高める

どのような研究を行っていますか?

セルロース系エタノールの製造工程は主に3つに分けられます。まず、原料となる草や木の一部を分解する前処理工程。次に原料を酵素により分解する糖化工程。最後が、得られた糖をエタノールへ変換する発酵工程です。鉄筋コンクリートに例えると、原料となるのは鉄筋の部分だけ。そのため覆いかぶさっているコンクリートの部分を取り除き、次に鉄筋を細かく分解して酵母が使えるような状態にすると、酵母がエタノールに変えてくれるという流れです。私は最後の発酵工程を担当しています。

具体的にはどのような研究を行っていますか?

糖化工程では、原料はC(炭素)6糖とC5糖の2つの糖に分解されます。このうち酵母がエタノールに変換するのは主にC6糖で、両方の糖を効率的に変換できる良い酵母は存在しません。しかし、同じ量の原料から生産するエタノールの量を増やそうとすれば、C5糖もエタノールに変換することが必要です。それによって原料の有効利用も図れ、生産量が増えればコストも下がります。そこで、C6糖だけでなくC5糖もエタノールに変換できるように酵母を改良することが、私の研究の大きなテーマです。ひとつの酵母で2種類の糖をエタノールに変換することは、この製造技術の特長のひとつでもあります。
日々の研究としては、酵母を調製することからはじまって、培養条件をいろいろ変えて試し、最適な培養条件を研究しています。酵母そのものを改良し、培養槽で評価して、その結果をもとにさらに改良を加えていく研究も行っています。
この製造技術の研究では、毎年、目標の変換率が掲げられ、昨年も目標を達成することができました。変換率目標は年々高い水準になってきていますが、今年は変換にかかる時間も目標に加わりました。ですから今年は、変換率を維持しつつ、変換時間を短くするというのをメインテーマとして取り組んでいます。

研究のやりがいやおもしろみは?

もともと環境問題に興味がありましたので、やりがいはありますし、自分としては満たされた仕事をしているなと思っています。ビジネスという観点からすると難しい部分もあるのではとの声も一部にはありますが、当社は実用化をめざして本気で取り組んでいますし、商業生産開始をめざして私も研究開発に注力しています。また、私は入社してからずっとこの研究一筋で、私が携わった成果が世に出たことはありませんが、毎年の目標をクリアしたときには達成感を感じます。私たちが扱っている酵母というのは、実験をしてもだいたい予想通りの結果を生み出さないものなのですが、まれに予想通りの結果が出ると、うれしく、やった!と思いますね。

酵母の気持ちになって研究を推進

ご自身の研究方法について教えてください。

冗談のように聞こえますが、酵母の気持ちになって考えるようにしています。酵母だって生き物。おそらく感情など持っていないとは思いますが、研究をしていると、今日は酵母の機嫌が悪いんじゃないかと思うくらい実験がうまくいかないことがあります。そこで、どうすれば酵母がエタノールをたくさんつくってくれるのか、またはどうして酵母がエタノールをつくってくれないのか、培養条件に対する酵母の反応を想像し、ギリギリのさじ加減で条件を調整するようにしています。このようにして実際に良い結果につながったことがありますので、この気持ちは忘れないようにしたいですね。

研究者に必要なスキルとは?

自分のことを振り返ってみると、常にまわりの人たちに助けられてきたなという思いが強いので、協力してくれる人を多くつくるスキルが大事だと思います。自分ひとりですべてをするよりも、自分が苦手なことは得意な人にお願いをして研究を進めたほうが効率的です。とはいえ、自分にそのスキルがあるかどうかはよくわかりませんが、おそらく敵は少ない人間だと思います(笑)。周囲の人とは、だいたい仲が良いですね。また、逆に、ほかの人からのお願いを引き受けられるように、自分自身が得意分野を持つことも必要だと感じています。

これからJXTGエネルギーに入社する後輩たちへメッセージを。

自分の中に核となるものを学生時代につくったほうがいいと思います。会社に入ると、迷ったり困ったりすることがいくつも出てきますが、そのときに、自分の中に核があれば考えの拠り所になりますし、自信にもなって、もっと頑張ることができるはずです。私自身は、これをずっとやってきましたという核と呼べるものがなく、反省点としてあります。会社に入ってから核をつくるのはなかなかできないので、学生時代につくっておいたほうがいいでしょう。何でもいいんです。勉強でも運動でも趣味でも。自分で「これをやる」と決めて、やりぬいたプロセスを経ることが大事なんだと思います。

セルロース系バイオエタノール

CO2排出量削減の観点から再生可能エネルギーであるバイオ燃料が注目されています。
バイオガソリンはバイオ燃料の一種であるバイオエタノールとイソブテンから合成されたETBE()を既存のガソリンに混合した燃料です。
バイオガソリンの販売は日本では2007 年から開始され、数量も徐々に増加しています。
現在のバイオエタノールは、サトウキビやトウモロコシといった食料を原料にして製造され、さらなるバイオエタノールの増加は、食料の需給に影響を与えることが懸念されています。
そこで当社は食料との競合を避けるため、非食料である草や木などの主成分であるセルロースを原料としたセルロース系バイオエタノール製造技術を開発しています。

製造工程は以下の3工程からなります。

  1. 1.原料の一部を分解する前処理工程
  2. 2.原料を酵素により分解する糖化工程
  3. 3.得られた糖をエタノールへ変換する発酵工程
  • Ethyl tert-butyl ether
セルロース系バイオエタノール
セルロース系バイオエタノール

「ESSO」・「Mobil」は、エクソン モービル コーポレーションの登録商標です。ライセンス契約に基づいて使用しております。