研究者インタビュー ENEOSの花、咲かそう!

STORY 30 食品機械用潤滑油

STORY30 食品機械用潤滑油 開発STORY 既成概念にとらわれない発想で要求性能と安全性を両立する潤滑油を開発
中央技術研究所 渡邉絢子

笑顔を絶やさず、仕事のこともプライベートのことも楽しそうに話す渡邉さん。新たな方法を見つけ出し製品開発につなげたその成果には、ポインセチアの「祝福」という花言葉がぴったりです。

Introduction

近年、食の安全に対する意識が高まっています。食品工場での潤滑油の使用についても厳しい目が向けられるようになってきており、当社では、米国NSF(National Sanitation Foundation)のH1グレードの登録をうけた「食品機械用潤滑油」を新たに開発し、販売を開始しました。その開発を担った“少数精鋭”メンバーのうちの一人が渡邉さん。使用できる基材や添加剤の種類が限られて、添加量も上限値が決められている中で、既成概念にとらわれない新たな発想をもとに、お客様が潤滑油に求める性能を持ちながら安全性も担保する製品の開発へとつなげました。

新たな視点で開発上の課題を克服

担当する研究と製品開発の背景は?

潤滑油は用途別に見ると、自動車などの輸送用と工場の機械などに入れる工業用の2つに分けられます。工業用には油圧作動油、ギア油などいくつもの種類があり、私は食品機械用潤滑油を担当しています。製品を開発した背景には、食の安全に対する意識が高まるなか、食品工場においても、万一食品に触れても安全な潤滑油を使用したいとのニーズが高まっていることがあります。そうした安全性の高い潤滑油であることを示す米国NSFのH1グレードに登録されたのが、今回の製品です。

どのようにして開発しましたか?

潤滑油は、大半を占める「基油」とさまざまな機能を付与するための「添加剤」を混ぜ合わせて作られます。添加剤は数千種類以上あり、求める性能に応じて異なる種類の添加剤をいくつも組み合わせて配合しますが、その組み合わせ、添加量は開発者に委ねられます。一方、NSFのH1グレードに登録されるためには、使用できる添加剤や量が決められています。一般的に添加剤は量が多いほうが性能は高くなりますが、上限値が定められているので、量を抑えなければなりません。性能と安全性のバランスをどうとるか。そこが研究開発のポイントとなりました。
具体的には、ある添加剤を加えたとき、沈殿が起きてしまったので、そこに別の添加剤を加えてみました。すると、沈殿が起きず、性能も求めていたものが達成できました。添加剤を複合させることによって相乗効果が表れ、開発上の課題を克服できたんです。
実は、あとから加えた添加剤は、普段は別の用途に使う添加剤でした。添加剤は、いくつかの働きを併せ持っているものも多いので、新しく試してみたんです。開発をする中で、過去の知見を活かすことももちろん大切ですが、例えば添加剤の構造を見ながら、これまで検討していなかった用途にも効果が期待できるのではと思ったら試してみる。それが今回の開発につながった大きな要因だと思います。このことがあってから、その添加剤の新しい用途が皆さんにも認識されるようになりました。

開発で苦労したことは?

お客様が求めている性能を、限られた添加剤で達成するのがとても大変でした。求められる性能は一つではなく、いくつもの性能をすべてクリアしなければなりません。添加剤の割合を少しずつ変えて実験・評価をする。新しい発想で別の添加剤を取り入れる。その試行錯誤がいちばん苦労しましたし、先輩と最も議論したところでもあります。商品を開発するにあたり最も大切なことは、お客様にメリットがあるかどうかだと思っています。私たちがすごく良い製品ができたと思っても、使い勝手が良くなかったり、ニーズがなければ意味がありません。食品機械用潤滑油も、販売にかかわる社員から売れたという情報があがってくると、うれしく、やりがいを感じますし、苦労が報われたなと感じます。

「なぜ?」を見落とさず諦めず追求

ご自身の研究方法とは?

潤滑油は、まだまだわからないことがたくさんある世界。だから余計に、「なぜ?」というのを常に考えて、わからないことがあったときに、なぜそうなるのかを見落とさないようにすることをポリシーにしています。今回の開発でも、沈殿した添加剤の使用を諦めていたら、解決方法を見出せなかったでしょうし、なぜ沈殿したのかわからずに終わっていました。会社で研究している以上、時間や費用対効果を考えながら研究しなければなりませんが、そうはいっても研究者なので、「なぜ」を追求して前へ進み続けることが大切です。その「なぜ」を一つ一つ明らかにすることで、目の前の課題の解決に役立つこともありますし、10年後20年後に花が咲くこともあると思います。また、「なぜ」を追求するなかで新たな視点や発想が生まれることもあり、それに挑戦していけるのが研究のやりがいやおもしろみにもつながっています。

プライベートでの楽しみは?

走ることが好きで、数年前からマラソンに出るようになりました。最近は横浜のフルマラソン。当社がスポンサーをしていることと、私が横浜出身であるという縁もあって参加しました。ランニングは、平日はさすがに難しいですが、土日は10~15km走ります。ストレス発散にもなりますし、走りながら考え事をして頭が整理できるメリットもありますよ。

これからJXTGエネルギーに入社する後輩たちへメッセージを。

自分がやりたいこと、実現したいことは何かを常に考えて、それに向かって熱意を持って取り組んでいってほしいなと思います。ただ、自分がやりたいことだけをしていたら、自己満足や自分本位で終わってしまう、お客様のために何がいちばん良いのだろうと、お客様のことを考えて進めていってほしいですね。会社のためではない。利益のためでもない。働く中で何がいちばん大切といったら、お客様にメリットを提供すること。その結果として利益があがり、さらにお客様と信頼関係が生まれることで次なる新しい開発にもつながっていくと考えています。私も今後は、自分が開発した商品に対して、もっとお客様に近いところから携わっていけたらと思っており、今後少しずつ歩みを進めていきたい。皆さんも自分のやりたいことに向かって、当社でぜひ挑戦してください。

食品機械用潤滑油

食品機械用潤滑油

「ESSO」・「Mobil」は、エクソン モービル コーポレーションの登録商標です。ライセンス契約に基づいて使用しております。