研究者インタビュー ENEOSの花、咲かそう!

STORY 31 FCA(流動接触芳香族製造)プロセス

STORY31 FCA(流動接触芳香族製造)プロセス 開発STORY プロセスに適した触媒を設計し、化学品の収率を倍増させる新プロセスを開発
中央技術研究所 小林正英

カスミソウの花言葉は「無邪気」「清らかな心」。少年のように目を輝かせながら話す小林さんは、常にポジティブに研究に取り組み、新たなことにチャレンジし続けています。

Introduction

原油を精製すると、ガソリン、ナフサ、灯油、軽油、重油など多種類の製品が同時に生産されます(連産品)。このうち重油は燃料として利用されますが、その需要が減少することが見込まれています。当社では、重油の原料となる分解軽油からベンゼン、トルエン、キシレン(BTX)など今後需要が見込める高付加価値な化学品へ効率的にアップグレーディングするFCA(流動接触芳香族製造)プロセスを開発。そのメンバーの一人である小林さんは、主に触媒開発を担っています。

新プロセスに適したサラサラな触媒を開発

開発したプロセスはどのようなものですか?

重油の需要減少が見込まれる一方、化学品の需要は堅調で、今後伸びていくと言われています。その中で、重油の原料となるLCOと呼ばれる分解軽油などを化学品に転換することが求められています。従来技術では、水素化分解と接触改質の2段階を踏むこと、高圧の水素が必要になりコスト高になること、化学品であるBTXの収率が高くないことといった課題がありました。そこで我々は、高圧の水素を使わずにBTXの高収率で得られるプロセスを開発しています。それが、FCA(流動接触芳香族製造)プロセスです。

どのような特長がありますか?

LCOの中にはさまざまな化学構造を持った物質が含まれていて、それぞれを適切に反応させて化学品を生成させます。このときに課題となるのが、反応系内に水素を同伴させないためにコークが生成して、触媒の活性が低下してしまうことです。そこで、反応塔と再生塔の2つの塔を設けて、その間で触媒を循環させることで、課題の解決を図りました。
プロセスとしては、①反応塔内での反応でコークが付着した触媒を再生塔に移す②再生塔でコークを燃やす③コークがとれた触媒を再び反応塔に戻すとともに、コークを燃やす際の熱を反応塔で有効利用する、といった流れです。こうした触媒を連続再生する循環流動床プロセスを採用することで、BTXの収率を高めることに成功しています。
触媒を移動させるプロセスのため、イメージとしては、砂のようなサラサラと流れる触媒を開発することが必要でした。2つの塔はパイプでつながれていて、触媒を循環させるときにパイプに詰まったり残ったりしてはいけないので、スムーズに流れるような触媒が必須です。既存の触媒もありましたが、FCAプロセスには適していなかったため、ゼロからつくる必要がありました。そこが難しく、苦労した点ですね。最初は小さな実験規模のレベルでスタートし、現在は大きな装置を建ててスケールアップしながら評価・検証をしています。

研究のやりがい、おもしろみは?

今後、重油が余剰になると言われているなか、将来に向けた対策の一端を担えることにやりがいを感じています。自分たちで装置を製作してプロセスの開発を行っており、その過程でなかなかうまくいかなかないこともありますが、検討を重ねていくうちに、あるときポッとうまくいくときがある。そんなときにはおもしろみを感じますし、うれしいですね。

ポジティブに新しいことにチャレンジ

研究者として社会に果たしたい役割とは?

我々がよく口にする言葉に「ノーブルユース」というものがあります。地球資源は限られていて、それをいかに大事に使うかが、石油を扱う当社としては非常に重要です。太陽光や風力などクリーンなエネルギーもありますが、現在の社会はそれだけでは成り立たず、石油はどうしても必要だと考えています。石油を大切に扱うことを研究者として常に心がけることで、社会への役割も果たせるのかなと思いますし、FCAはノーブルユースの考え方を具現化したものの一つと考えています。

今後行いたい研究とは?

より経済性の高いプロセスにするための改良を加えていきたいと考えています。特に化学品の市況は変動しやすいので、市況にあわせて生産が調整できるようなプロセスができると素晴らしいなと思います。アプローチしたい分野は、今後余剰が見込まれる原料をもとに、新たな化学品を製造できるプロセスを開発することです。現在のテーマと重なりますが、このテーマを追求して余剰となる原料を化学品に転換することができれば、社会に貢献できると考えています。

これからJXTGエネルギーに入社する後輩たちへメッセージを。

石油の需要が減少するなか、当社では新しいことに次々とチャレンジしています。そうした風土や事業に興味のある方には最適な会社ですし、実際に入社すると、いろいろなことに挑戦していることを実感できると思います。学生時代の研究内容とは違う部署に配属されるケースもあるかもしれませんが、それはそれで新たなチャレンジと考えて頑張ってほしいですね。また、会社はチームで動いています。研究するなかで、うまくいかないこともあるでしょうが、チーム全体を盛り上げて、いつもポジティブな考えで取り組むことがとても大切です。そのことをぜひ皆さんに伝えたいと思っています。

FCA(流動接触芳香族製造)プロセス

FCA(流動接触芳香族製造)プロセス

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