研究者インタビュー ENEOSの花、咲かそう!

STORY 35 LCO水素化分解プロセス

STORY35 LCO水素化分解プロセス 開発STORY 製造所で得た装置運転の技術・知見で新プロセス開発に貢献
中央技術研究所 前田 拓

オンシジュームの花言葉は「協調」。製造所での装置運転の経験・知見を活かしながら、前田さんはさまざまな人々との協調のもと、日々研究に取り組んでいます。

Introduction

ガソリンをはじめとした燃料油の国内需要が減退している中、特に重油の需要減が顕著になっています。こうした背景から、当社では重質油の一種であるLCOを原料油として、軽油・ナフサを製造するプロセスを開発し、室蘭製造所で実用化しました。同じ重質油から石油化学原料を製造するFCAプロセスが次世代型のプロセスであるのに対して、LCO水素化分解は現状の技術を活かして速やかに実用化したプロセスといえます。そのメンバーとして前田さんは、独自の視点と技術でプロセスの開発に貢献しています。

研究は製造所のニーズが出発点

LCO水素化分解プロセスとはどのようなものですか?

重質油の一種であるLCOを原料油として、軽油やナフサを製造するプロセスです。従来は、触媒の活性や製品選択性が低いため、LCOからナフサを高収率で得ることは困難でしたが、活性が高く選択性が高い触媒を新規に開発することで、商業プロセスの完成に成功しました。従来に比べて、化学品原料であるナフサの収率が向上していますので、重油の需要減とプラスチックなど化学品の需要増という需給の変化に柔軟に対応することができます。

どのような研究を行いましたか?

私が担当になったときには触媒の開発はほぼ完了していて、その触媒を実際の装置に入れて運転するための検討が、私の主な研究内容でした。実用化にあたって課題となったのは、芳香族化合物が多い原料のため発熱が非常に大きく、予想外の反応が起こるリスクが高いことでした。これは、このプロセスならではの特徴といえます。そのため触媒の充填方法だけでなく、運転方法に関して製造所の方と相談し、改善策を検討・実施することで、実用化を達成することができました。
実は、私は入社後、室蘭製油所(当時)に配属になり、そこで装置の運転の基礎を学びました。4年間いましたので、プラント側の知識や経験が相応に身についたのではと思います。製油所で装置運転を経験した研究者は当社でもレアケースですので、これが研究者としての私の強みかなと思いますね。
というのも、例えば触媒を開発して、実際の装置に入れて運転してみると、実験のときと同じ動きをするかといえば、決してそうとも限らないからです。原料が変わったり、運転条件が細かく変わったりして、思いもよらない挙動をすることもあります。そうした場合は現場の方々と一緒に考えて、運転条件を見直したり、別の方法を考えたりするんです。製油所でも日々そうしたことを経験していましたし、今回のプロセス開発でも、そうした経験が活かされたと感じています。

ご自身の研究方法は?

研究は、主に製造所の要望からスタートします。より高寿命の触媒がほしい、触媒を最大限に生かす運転方法が知りたい、製品性状を改善したい。そういった製造所のニーズや、時には現時点での不満を聞くことを大事にしてます。また、アプローチ方法としては、自分の持っている基礎化学の知識をもとに、実機の運転状態を解析して最適解を見つけたいと考えています。今の仕事がまさにこの形ですね。

もうひとつ、新たなプロセスの実用化を

休日は何をされていますか?

3人の娘と遊ぶのが、自宅にいるときの私の仕事です。自転車に乗った子どもの横を走ったり、公園でごっこ遊びをしたり。将来、子どもたちには、自分がやりたいことを見つけてくれたらいいなと思っています。研究者をしていると、新しい技術を開発することで社会に貢献していると感じることができますので、私と似たようなことをやってくれたら嬉しいですが、無理強いはしません。やはり自分の好きなことを見つけてほしいですね。でも、3人いるから1人くらいは研究者に…とも思っています(笑)。

今後行いたい研究とは?

今回のLCO水素化分解プロセスのように、もうひとつ新しいプロセスを実用化できたらいいですね。燃料油の国内需要が減退しているので、その中で、重質油を分解して軽質油に、さらには化学品の原料へ変換していくというプロセスが求められていますからね。また、潤滑油などを製造するには、生成油の性状を、非常にシビアな求められた範囲に収めないといけないので、そうした細かな要望に応えられるようなプロセスがあれば、まさに夢かなと思います。

これからJXエネルギーに入社する後輩たちへメッセージを。

就職先を考えるうえでは、自分が何をしたいか、どんなことで社会に貢献したいか、よく考えていただきたいと思います。そのうえで、日本のエネルギーに関して興味があればぜひ当社をのぞいていただきたいと思います。
当然のことですが、会社は製品を販売して利益を得ます。その実現に向けて、我々のような研究開発からプラントの運転、販売まで多くの業務がありますし、同時に多くの人と関わりを持っていくことになります。みんなが同じ方向を向いて仕事をするのはけっこう大変ですが、一致団結したときに大きなエネルギーを発揮できますし、それを味わえる仕事です。皆さんもぜひその輪に入れるように知識を増やし、また、いろいろな人と話をして、相手の考えを理解できるようになっていただきたいなと思います。

インタビュー・ビデオ動画

LCO水素化分解プロセス

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