研究者インタビュー ENEOSの花、咲かそう!

STORY 36 シールドマシン用グリース「シールノックCR」

STORY36 シールドマシン用グリース「シールノックCR」 開発STORY 止水性能、圧送性能と硬化遅延性能を両立するグリースを新開発
中央技術研究所 泉 徹

「純粋」「無垢」といった花言葉を持つユリのように、何事にも純粋な気持ちでチャレンジする泉さん。内に秘めた“冒険心”が、その想いを支えています。

Introduction

トンネル工事を行う際に使われるシールドマシンでは、グリースがきわめて重要な役目を担っています。当社では、株式会社大林組様と共同でシールドマシン用のグリース「シールノックCR」を開発し、販売を開始。従来の性能を維持・向上させながら、新たな性能を付加することで、工事の安全性や効率性の一層の向上に貢献しています。その開発に携わった泉さんは、相反する性能の両立に向けて、日々、地道な研究・実験を繰り返し、開発を牽引しました。

自ら切り開く研究は冒険のようなもの

グリースはシールドマシンにどのように使われていますか?

トンネル工事の工法のうち、地中の掘削と同時にトンネル本体を組み上げるものをシールド工法と呼びます。地盤沈下を起こしにくいのが特徴で、地上に建造物のある都市部や地盤の不安定な場所で使われます。この工法では、高水圧下での工事になるので、マシンテール部に止水性に優れるグリースを充填します。これにより、シールドマシンの内部に地下水が侵入しないようにして作業の安全性を確保するという重要な役目を担っています。

開発のポイントはどのような点ですか?

主な要求性能としては止水性能、圧送性能、硬化遅延性能の3つがあり、これらを両立することが大きなポイントになりました。
止水性能はシールドマシン用グリースの基本かつ重要な性能です。また、グリースは配管を通じてポンプで圧送充填するため、優れた圧送性能も求められます。今回の開発にあたっては、高い止水性能と圧送性能を持つ従来品をベースに、止水・圧送の2つの性能を維持・向上させながら、新たな性能を付加しました。それが硬化遅延性能です。
工事の際はトンネル周辺の地山を安定化させるために裏込め材と呼ばれるセメント系材料を、トンネルの壁と地山の間に注入します。このとき、裏込め材がテール部に浸入すると、グリースが短時間で硬化し、止水性能の低下やテール部に設置されるブラシの破損の原因となります。これを防ぎ、裏込め材が混入しても硬化しにくい性能が、硬化遅延性能です。
一般に止水性能を高めるにはグリースの硬さは硬いほうが有利ですが、圧送性能はその逆で柔らかいほうが有利となります。今回の開発では、こうした要求に加えて、グリースに裏込め材が混入した際にも、グリースが急速に柔らかくなることなく適度な範囲の硬さを一定時間維持することと、継続的に圧送できるだけの柔らかさを維持することの両立が求められました。このような厳しい要求性能に対して、さまざまな材料や添加剤の配合を試した結果、ついに開発に成功しました。

ご自身の研究方法は?

グリースの研究開発では、グリースが使用される環境や機器の運転条件などにより、求められる性能が左右されます。そのため、研究のテーマはお客様と一緒に作り上げることが多いですね。アプローチ方法としては、社内に蓄積されている知見を最大限に活かし、レシピの大枠を決め、レシピの材料や製法にアレンジを加えて、用途にマッチした特性を持たせてカタチにしていきます。こうした過程は冒険・探検に似ていると感じます。まだ誰も作ったことのないレシピで誰も見たことのない性能を示すものができると興奮しますし、やりがいにもなります。

グリースで省燃費化の流れに貢献

研究者として社会に果たしたい役割とは?

私がよくおつきあいしている自動車業界や産業機器業界では、省燃費化が大きな流れとなっています。その流れに対してどれだけ貢献できるかが私たちには求められているといえます。そのため研究を通して、グリースの省燃費性能向上や、より厳しい条件下でも使用可能なグリースを提供することで、材料選択や設計の幅を広げ、省燃費化に貢献していきたいと考えています。

趣味や熱中していることは?

私は出身が札幌で、3歳からスキーを始めました。小学校の頃は、スキー場にスキーを置かせてもらって、放課後、毎日、バスでスキー場に行って滑っていました。ゲレンデスキーはもちろんですが、好きなのはバックカントリースキーです。スキー場ではない場所を滑るものですね。みんなが行かない場所へ行って滑る楽しさは格別です。研究とも共通していますね。誰もつくったことのないものを工夫してつくってみたいとか、いろいろ試してみるとか、自分で道を切り開くとか、共通点が多い気がします。子どもはまだ小さいですが、いまから一緒に滑るのが楽しみです。

これからJXエネルギーに入社する後輩たちへメッセージを。

自分がやりたいと思うことを見つけてチャレンジしていってほしいと思います。当社では後輩先輩に関わらず、人の意見に耳を傾ける風土があると感じています。なぜやりたいのかを丁寧に説明して、その価値をちゃんと伝えることができれば、上司も提案を認めてくれると思います。
もちろん提案したことがすべてうまくいくとは限りません。実際に手を動かしてみると、思わぬトラブルや想定外の事態が発生することも多々あります。ですが、自分でトラブルの原因を調べたり、周りの人に助言を求めたり、そうした経験の積み重ねが自分なりの新たなアイデアや個性を生むと信じて、私は日々仕事に取り組んでいます。皆さんもぜひ、さまざまな経験を積み重ねていってほしいと思います。

インタビュー・ビデオ動画

シールドマシン用グリース「シールノックCR」

シールドマシン用グリース「シールノックCR」

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