研究者インタビュー ENEOSの花、咲かそう!

STORY 39 暖房機器にやさしい灯油

STORY 39 暖房機器にやさしい灯油 開発STORY 重油から得られる灯油留分を活用 安心・安全で高品質な灯油を開発
中央技術研究所 長谷川貴将

ストックの花言葉は「見つめる未来」。長谷川さんが開発した高品質な灯油は、まさにエネルギーと人々の暮らしの未来を見つめる中で生まれたものといえます。

Introduction

ガソリンをはじめとした燃料油の国内需要が減退しているなか、特に重油の需要減が顕著になっています。また、エネルギー供給構造高度化法と呼ばれる法律でも、日本の重油分解装置の装備率を上げるよう基準が定められ、石油業界は対応を求められています。こうした背景から、当社では重油を分解して得られる灯油留分を活用した際にも、安全で安心してご使用いただける高品質な灯油を開発しました。その研究プロセスのなかで長谷川さんのグループは、最終的な品質を検討・決定する役目を担っています。

重油の有効活用に貢献

今回の研究の背景についてまずお聞かせください。

大きく2つあります。1つは、重油の需要減。原油から得られる石油製品のうち、重油の需要は年々減少し、重油の余剰は年ごとに増大しています。もう1つは、重油の分解能力の向上を目的としたエネルギー供給構造高度化法への対応です。業界全体でその促進を図ることが求められています。重油から灯油留分を取り出す研究は以前から行ってきましたが、こうした背景からさらに加速がかかったという形です。

どのような研究を行いましたか?

重油を分解して得られる灯油留分は、硫黄分がJISで定められている規格を満たすように脱硫して製品にします。しかし、重油由来の灯油留分は、脱硫しても、そのまま灯油として使用することはできません。というのも、燃焼性の悪いナフテノベンゼンやシクロパラフィンといった環状化合物を多量に含むからです。
これらの環状化合物を多く含む灯油をストーブに使用すると、長時間燃焼させるうちにストーブの芯にカーボンが生成し、芯が固化して燃焼不良を起こしてしまいます。そこで、ストーブやファンヒーターなどの燃焼機器を用いて、ナフテノベンゼンやシクロパラフィンが長期燃焼時に燃焼機器に与える影響度を検証し、重油を分解して得られる灯油留分の混合比率を適切に管理・コントロールすることで、高品質な灯油の開発に成功しました。これにより、重油の有効活用に貢献できると考えています。

ご自身は主にどのような取り組みをされましたか?

研究の立ち上がり時には、当社のどの製油所の分解装置を活用するかの検討も行いました。
研究内容としては、分解して得られた灯油留分に含まれる燃焼性の悪い化合物を、どのようにコントロールしていけば、問題なく安心・安全に使っていただけるかを研究してきました。
実際は、分解系といってもさまざまな装置から流出する油がありますので、その油をどのくらいの比率で混ぜて、最終的な製品にするかをひとつずつ確認していきました。試製した灯油の組成を分析し、それをストーブやファンヒーターで燃焼させたときの影響をそれぞれ評価して、その対応を確認しながらどの因子がどのように作用しているのかという影響度を整理する。その繰り返しでした。

「幸せな研究者」であり続けたい

ご自身の研究方法について教えてください。

まず、研究の「種」の見つけ方ですが、困りごとに注目するようにしています。研究は最終的に誰かの役に立つ技術を作り出すための取り組みですので、今、もしくは将来の困りごとを解決するところに研究の種があると考えています。「種」の育て方に関しては、前向き思考を基本としたうえで、とにかく考えることを大切にしています。
当初、より良い研究成果が出るようにと心がけ始めた研究の進め方ですが、研究はまだ見ぬ成果を追い求める取り組みですので、よく考えて仮説と計画を突き詰めていく仕事の進め方は、その説明を通して周りの方々の賛同を得ることにも一役買っていることに、最近気づきました。入社当時は突っ走って「空気が読めない」と言われた私が、最近では関係部署と連携をとって生き生きと仕事ができるようになってきた一因は、このような仕事の進め方をするようにしてきたからかもしれません。とはいえ、いろいろ考えているうちに、それが最善だと思いこんで突き進んでしまうこともあるので、「空気読めない」の看板はなかなか外せませんが(笑)。

今後の研究で大切にしたいことは?

常に前向きで、どんな結果も次につなげる糧としていくような、「幸せな研究者」であり続けたいと思います。研究を進めるうえで、仮説が正しくなく、思った通りの結果が出ないこともありますが、それは、「過去の知見を基に考えた仮説ではうまくいかない」ということを教えてくれる新しいデータだと考え、常に前向きに研究を行っています。そうすることで、日々の研究にも楽しさが生まれ、最後には成功につながると信じています。

これからJXTGエネルギーに入社する後輩たちへメッセージを。

「あなたはどうしたいですか?」。私が1年目社員の時に先輩社員から投げかけられた問いです。当時の私は目標に対してどのようにアプローチしていきたいかを問われたと感じていましたが、研究を進めるうえだけでなく、人生のさまざまな選択をするうえで、この問いかけは非常に重要な問いかけであることに気づきました。
正解がわからない、あるいは正解があるのかすらわからない中で行う研究や人生において、初動の原動力になるとともに、最後の拠り所となるのは、自分の中にある「想い」だということにいつも行き着くからです。
当社の仲間として、一緒に働くことを決めた後輩には、ぜひ自分はどうしたいかを語ってもらいたいと思います。調べ抜き、考え抜いたあなたの想いを聞いてくれる文化が当社にはありますので、ぜひその想いをぶつけてほしいと思います。

暖房機器にやさしい灯油

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