研究者インタビュー ENEOSの花、咲かそう!

STORY 41 セルロース系エタノール生産酵母

STORY 41 セルロース系エタノール生産酵母 開発STORY セルフクローニングにより酵母の改良に成功 実用化へ大きく近づく
中央技術研究所 牟田口梢栄

「優美」「上品」といった花言葉を持つモカラ。そんなイメージと重なる牟田口さんは、粘り強く根気のいる研究に真摯に取り組む一方、愛情を持ちながら日々酵母と接しています。

Introduction

二酸化炭素排出量削減およびエネルギーセキュリティーの観点から、バイオエタノールが注目されています。現在は主にサトウキビ、トウモロコシなどから生産されていますが、食料との競合が懸念されています。そこで当社では、食料として利用できない草や木などを原料とした、「第二世代」と呼ばれるセルロース系エタノールの製造技術開発を推進しています。そのなかで牟田口さんは、セルロースからエタノールを生産するための酵母の改良に取り組んでいます。

酵母が利用しづらい糖の利用で収率向上

エタノールはどのように生産されるのでしょうか?

原料を酵素などによって糖へ変換し、その糖を酵母が利用してエタノールを生産します。
サトウキビなどの食料から得られる糖(C6糖)は酵母にとって利用しやすいものです。一方、草や木から得られる糖には、酵母が利用しづらい糖(C5糖)も存在します。同じ量の原料から生産するエタノールの量を増やそうとすれば、C5糖も利用することが必要になるわけです。このC5糖の利用が研究の大きなテーマとなりました。

どのような研究を行いましたか?

現在、世の中では、酵母に別の生物の遺伝子を導入することで、C5糖を利用できるようにしています。しかし、この方法では創り出された酵母は遺伝子組換え体となり、漏洩した場合、生物多様性の保全への影響を与えるため、使用することに懸念があります。
そこで当社はセルフクローニングという技法を用いています。この技法では、酵母自身の眠っている能力(酵素)を働かせることにより、酵母がC5糖を利用できるようにしています。
C5糖を利用するための酵素を働かせるためには、この酵素の設計図である遺伝子が正しい状態となっていて、さらに、その設計図に基づいて酵素をつくるためのスイッチも正しい状態となっていることが必要です。この2つがセットになって初めて酵素が働くようになります。今回は、設計図は正しい状態となっていたのですが、スイッチに不具合があったので、そこを変更しました。もしこれが反対に、設計図に不具合があったとしたら、セルフクローニングを適用するのは難しかったかもしれませんね。

研究は今後どのように進むのでしょうか?

当社ではエタノールの研究は数年前から行ってきましたが、いまが最も実用化に近づいているのではと考えています。目標としては2020年までに量産化できる技術確立をめざしています。私のほうでは、酵母の改良をさらに重ねていきたいですね。研究は、自分で開発したものを世の中に提供するために行っている部分もあるので、実用化に向けて取り組んでいきたいと考えています。

酵母に「頑張れ」と声かけ

仕事のやりがいはどのような点でしょうか?

研究は、「種」からその先に行くのはすごく難しいものですが、幸いにも、今回の研究はフラスコレベルからパイロットレベルまで実施することができました。最初は酵母だけを見ているような状況でしたが、徐々にいろいろなことと関わっていくようになって、楽しさが広がってきました。
酵母の研究をしていて、数十数百の酵母を取り扱っているときは「みんな頑張れ」と思うくらいなんですが、もうひと伸びしてほしいというときは毎日声をかけます。「今日はどんな調子?」「ここ、いづらいと思うけど頑張ってね!」とか(笑)。酵母は生き物ですし、何百時間も同じ酵母と一緒にいたりするので、飼っている感覚に近いです。そんな感覚もやりがいのひとつかもしれません。

研究者に必要なスキルとは?

対話力だと思います。その分野の広く深い知識はもちろんですが、商業化をする際にはプロセス全体を考える必要があります。自分だけで考えていると考えが足りないことは多くあります。いろいろな人の話を聞いて、自分の考えも伝えて、たくさん意見を交わし、その中で最適なものを見つけていくことが、研究者として必要なスキルだと考えています。

これからJXTGエネルギーに入社する後輩たちへメッセージを。

会社に入ると変化が絶対に起きてきます。それを受け止めて、自分でどう対処していくかを考える。あるいはこの変化のこういうところがいいよねと感じて対応していく。そんな風に、いい意味でカメレオン的になっていくべきかなと思います。でないと、自分も成長できないと思います。 起こった変化に対して納得できないことがあったとしても、いったん受け入れて、そこにはどういういいことがあるのかを考える。そうした能力があると、いいかなと思います。
当社はそういう変化がある会社です。エネルギー会社ですので、今後も変化していくべきだと思いますし、皆さんにはその一翼を担ってほしいなと思います。

セルロース系エタノール生産酵母

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