研究者インタビュー ENEOSの花、咲かそう!

STORY 43 ナノインプリント技術「高耐熱位相差板」

STORY 43 ナノインプリント技術「高耐熱位相差板」 開発STORY ノウハウ・技術を駆使してお客様の要望をクリア 独自技術として特許も出願
機能材カンパニー 須崎吾郎

当初、お客様の高度な要望から「ハードルが高い」と感じながらも、見事にクリアして新たな製品の開発に成功した須崎さん。デンファレの花言葉「有能」を体現しているかのようです。

Introduction

当社では、フィルム形態およびガラス形態のナノインプリント生産技術・設備を保有しており、光学フィルムの製造で培ったノウハウを活用し、多様な機能を持つ製品の設計・開発に取り組んでいます。そのひとつ、高耐熱波長板「NanoableTM Waveplate」(ナノアブル・ウェイブプレート)は、ガラス基材の表面に無機材料をインプリントする技術を用いた、無機材料のみで構成された波長板です。無機材料のみで構成されているため、従来のフィルム製品に比べて高い耐熱性・耐光性を持ち、プロジェクター用波長板等などの用途への活用が見込まれています。この開発に携わった須崎さんは、研究成果を着実に積み重ね、短期間で開発・販売へとつなげました。

これまでに培った光学技術・ノウハウを活用

ナノインプリントとは?

ナノインプリントとは、ナノメートルサイズの構造体(元型)を樹脂に押しつけることで、基材の表面に微細な凹凸構造を形成する技術です。凹凸構造の形状を制御することで、表面反射を防止して限りなく透明なフィルムを作ったり、曇り防止や撥水フィルムを作ったりすることができます。当社では微細凹凸構造を持ったフィルムを大量生産する手法として、ナノインプリントという技術を開発してきました。微細構造を持つ金型が用意できれば、樹脂などの硬化する材料へ型押しすることで、複製を大量に製造することが可能です。

今回の研究内容とポイントは?

いま、世の中では、樹脂などの有機材料で複製を取る方法が主流です。しかし、耐熱性を必要とするような用途には向いていません。そこで、ガラス基板上へのインプリント技術を新たに開発し、この技術を用いて、従来の有機材料では適用が難しかったプロジェクター用の無機位相差板の用途への展開を図ることが可能となりました。
今回開発した無機位相差板は、ナノメートルサイズの微細凹凸構造を光の波長より短い周期で形成することで、構造の周期方向とその垂直な方向で光の速度が異なる複屈折と呼ばれる現象を利用しています。
研究のポイントは、凹凸の構造です。凹凸の高さや幅、さらには材料を変えながら影響を測定しました。また、光学部材の設計に当たっては、過去の液晶ディスプレイの視野角向上用で培ってきた当社の光学技術のノウハウが活かされていることもポイントのひとつです。
開発に際しては、プロジェクターメーカーであるお客様から、高度な要求もあり、当初はハードルが高いと感じていました。しかし研究を進めるうちに「これはいけそう」「お客様に自信をもって提案できる」と変化し、実際に提案して、お客様のプロジェクター設計者の方から「これならいいね」と評価をいただいたときは、やった!という思いでした。

世の中を驚かせる機能や製品を支えたい

今後の研究について教えてください。

今回、構造複屈折の原理を活用し、研究開発、営業、生産が一体となり、総力をあげることで、幸いにも無機位相差板を製品化することができました。今後はさらに、蓄積してきた技術を通じて、新たな製品開発につなげていきたいです。具体的には急速に普及が進んでいる有機ELディスプレイに必須の反射防止フィルムなどへの適用をめざしたいと考えています。

研究者として果たしたい役割とは?

大学時代は化学系の研究室にて、液晶高分子と呼ばれる材料の新たな特性を測定しながら探索していくテーマを扱っていました。液晶の研究には偏光顕微鏡での観察が必須であり、地道に顕微鏡をのぞき、液晶化合物の相転移を眺める毎日でした。そのなかで研究の面白さを体感できたと同時に、研究をしながらも、目に見える製品開発という形で世間に貢献できるのであれば、そのような道に進みたいと思ったのが当社を志望したきっかけでした。
化学系出身のため、これまでの経験を活かし、新規の機能を有する機能化学品の開発に少しでも関わりたいと考えています。入社以来、機能材料の研究開発を担当する部署に所属していますが、特に最近は予想もつかないほどのスピードで各分野での技術革新が進み、世の中のニーズも複雑化、細分化していることを肌で感じています。どのような分野で貢献できるかは私たちも探索中なのでわかりませんが、世間でのニーズに耳を傾けながら、他分野との複合化などにより、世の中を驚かせられるような機能や製品の一部にでも入れたらいいと思っています。

これからJXTGエネルギーに入社する後輩たちへメッセージを。

当社はエネルギーにとどまらず、さまざまな領域・分野に事業展開を推し進めています。石油精製のように、すでに技術としての成熟度の高い分野もありますが、常に効率の改善など検討項目は尽きず、各分野とも技術系の皆さんの力を必要としています。また、当社は若手でも意見を言いやすい雰囲気があり、仕事をしやすい環境だと感じています。私の部署でも、新入社員を含めて臆することなく、日々活発な議論を交わしています。今後皆さんと一緒に仕事ができることを楽しみにしています。

インタビュー・ビデオ動画

ナノインプリント技術「高耐熱位相差板」

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