ニュースリリース

2017年度

2017年4月 3日

JXTGエネルギー発足式における社長挨拶について

記者各位

 

 本年4月1日のJXTGエネルギー株式会社発足に伴い、本日、JXTGエネルギー本社(東京都千代田区)にて行いました、当社社長 杉森 務の社員に向けた「発足式挨拶(要旨)」を下記の通りお知らせいたします。

 

 

 JXTGグループは、単純合算で売上高10兆円にも及ぶ国内でも有数の企業グループであり、国際的な競争力を有するアジア有数の総合エネルギー・資源・素材企業グループとして発展を目指す。JXTGエネルギーはその屋台骨として、社会の根幹をなすエネルギーの安定供給を確保し、持続可能な社会の実現に向けて使命を果たしていくこととなり、その責任は極めて大きい。当社の今後の方向性について私の考えを申し上げる。

 

1.当社を取り巻く環境

 コア事業である石油精製販売事業において、急速な国内需要の減少、将来的な国内人口の減少やエコカーの普及など、厳しい事業環境が継続することは確実である。一方、新興国を中心に石油製品需要が堅調に推移するアジアでは、海外のコスト競争力の高い大規模な製油所との競争が大きな課題となっている。厳しさを増す事業環境を打破し、将来への成長戦略を描いていくためには、石油精製販売事業におけるサプライチェーン全体の競争力強化、さらにはアジア諸国との国際競争にも打ち勝てる基盤を早期に構築する必要がある。また、次世代の柱となる事業の育成・拡大についても、海外での事業展開を含め、当社の強みを活かした新たな事業領域を確立する必要がある。抜本的な変革を通じて、様々な課題に対処していかなければならない。

 

2.三大改革

 私が、特に重要であると考える3つの構造改革について申し上げる。

(1)製油所・製造所の安全・安定操業に関する改革

 石油製品を社会に安定供給していくことを使命とする当社にとって、製造現場の安全・安定操業の確保は、事業の存立基盤とも言うべき大変重要な要素である。国内16カ所すべての製油所・製造所でこれまで以上に高いレベルの安全・安定操業が確保できるよう、体系化された操業管理体制を構築する必要がある。これまで両社が培ってきた知見やノウハウを結集して、この課題に対処していかなければならない。

 

(2)最適な製油所ネットワークの確立

  石油製品の国内需要が減少していく中において、最適な供給体制を確立し、製油所の競争力を向上させるためには、精製能力の削減を進めていかなければならない。製油所の統廃合は、慎重に対処すべき大変難しい課題ではあるが、圧倒的な競争力を早期に確立するためには避けては通れない。今後、製油所の統廃合を軸に、あらゆる面からの検討を速やかに進め、その方向性を打ち出したい。

 

(3)新しいIT基盤としての統合基幹業務システム(ERP)の構築

  今後、当社が国際的な競争力を構築していくためには、時代に相応しいIT基盤としての統合基幹業務システム(ERP)の整備が必要である。その効果を早期に実現するためにも、ERPの導入前倒しを目指す。ERPの構築により、当社の事業運営が劇的に効率化され、将来の事業基盤拡大の足掛かりとなることを期待する。

 

 これ以外にも、原油調達の最適化、川崎地区の一体運営による収益改善、販売政策の一本化やブランド戦略の明確化等にも取り組んでいく必要がある。さらには、購買部門における購買コストの削減など、サプライチェーン全体の競争力強化に向けた様々な課題を一つひとつ確実に実現していかなければならない。

 

3.会社のあり方

 JXTGエネルギーという会社のあり方について、社員の皆さんに理解してもらいたいことを5点申し上げる。

(1)将来を見据えた変革

 事業環境が急速に変化する中で、将来の確たる成長戦略を描いていくためには、会社の風土や社員の意識に至るまで、時代の変化や将来の事業のあり方に相応しいものに、会社全体を「変革」していかなければならない。当社はJXエネルギーでも東燃ゼネラル石油でもなく、「まったく新しい会社に生まれ変わる」という気概が一人ひとりに求められている。単にどちらかのやり方に合わせたり、足して2で割るのではなく、両社の強みを踏まえてゼロベースで論議を交わし、新会社として真に相応しい答えを見出していく姿勢が大切である。その中で、変えるべきものは勇気を持って変える。会社一丸となり、変革マインドをもってこの会社を変えていこう。

 

(2)人材の確保・育成と働き方改革

  幅広い視野をもって多面的に物事を考えることができる人材の確保や海外でのビジネスを真に担えるグローバル人材の育成も重要である。一方、製造現場においては、技術伝承を着実に進め、安全・安定操業を確たるものとしていく観点からの人材育成に注力していく必要がある。人材の確保・育成には、公平・公正・透明な人事の仕組みが欠かせない。また、その素地づくりとして「ダイバーシティ経営」も大切であり、性別、年齢、国籍などは勿論、育児や介護のための時間的制約にも関係なく、すべての社員が持てる能力をフルに発揮して、会社に貢献できるような職場環境を実現しなければならない。そのためには、長時間労働に依存した業務の進め方の見直しが必要であり、さらには会社全体の風土改革・意識改革を加速させていきたい。

 

(3)組織としての機動力

 会社組織が大きくなると、ともすれば当事者意識が損なわれがちになるが、大きくなったからこそ組織としての機動力が試されていると肝に銘じなければならない。特に、現場の最前線である支店・製油所・製造所等においては、自らの現場で起きている問題に対して、しっかりと責任を持って対処するという意識を決して忘れないでほしい。この意識が組織の隅々まで浸透してこそ、会社全体としての大きな力につながる。

 

(4)対話

 「対話」は、私がかねてより重きを置いてきたテーマのひとつである。会社組織において、新しい発想を生み出していくためには、風通しの良い社内環境をつくり、関係者相互の信頼関係を構築しなければならない。対話の促進により、組織の活性化を図ってもらいたい。

 

(5)社会的使命

  当社は、日本の石油業界のリーディングカンパニーとして、エネルギーの安定供給を支えるとともに、あらゆる面で社会の規範とならなければならない。そのために必要なことは、誠実な会社であり続けるということであり、社員一人ひとりがあらゆる場面で「公明正大」を旨として行動してほしい。当社のビジネスは、系列の特約店や販売店の皆様を始めとする「お客様からの信頼」によって成り立っている。どのような局面や状況であっても、お客様に対して、「誠実な」姿勢をもって、しっかりと向き合ってもらいたい。

 

4.最後に

 当社がこれから対処すべき課題は多岐にわたり、様々な困難に直面するかもしれない。しかし、将来への発展・飛躍を期すためには避けて通れないものばかりであり、総力を挙げて乗り越えていかなければならない。私自身、全身全霊を持ってその舵取りに尽力していく。グループ一丸となって、当社の未来を切り拓いていこう。

 

以 上